はい、そんな訳で始まりましたGAL Radio。ここは友人とカフェで会話するように、音楽の魅力についてお話する場所です。今回は! ついに! 7月14日リリース、僕のNEW ALBUMについてお話したいと思います。心を込めて、お届けします。

 
 

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Kei Takahashi
NEW ALBUM「landmark」
2023.07.14 Digital Release


01.1988
02.zero gravity
03.未来
04.neco
05.花束
06.trademark
07.curtain
08.ひまわり
09.neon sign
10.E6
11.cliché
12.中央線に揺られて(outbound)

 
0_landmark

▼DL & Streaming URLはコチラ

 

前作から約3年7ヶ月ぶりとなる2nd Album。新録9曲、シングル「ひまわり」「中央線に揺られて」「花束」を含む全12曲収録。パンデミック期間中に制作された50曲を超えるデモの中から厳選された、珠玉の楽曲たちが詰まった意欲作です。スタジオ録音とライブの中間のようなエモーショナルなサウンドメイクに挑戦しています。

 
 

ランドマークを見つけるまで


1st Album『RADIO WAVES』は、この連載の企画で「毎月新曲を発表する」をテーマに書いた2018年〜2019年の楽曲を集めたポップなアルバムでした。今作には2019年末以降にレコーディングされたシリアスな楽曲が並んでいます。なるべく小さな幸せに気付きたいと思って日々生活しているのですが、最初の1〜2年は暗い曲ばかり生まれ…(やはりあの期間というのは、心のどこかでモヤモヤが付き纏っていて、それが音にも反映されていたんだと思います。)2022年初頭辺りからそのムードは残しながらも、どこかに光を感じる音を届けたいと思うようになり、目指したい方向にピントが合っていく感覚がありました。この辺りで、旅人が場所を特定するための「目印」を意味する言葉「landmark」が浮かび上がります。

 

ランドマークに込めた想い


landmarkには「歴史的な、大きな出来事」という意味もあります。この3年で色々な状況が変わっていった中、不条理なことや歯痒いこと、忘れてしまいたい残念なことも多々ありました。だからこそ、本当に大切なものに気付いた期間でもあったと思っています。そんな過去を忘れないために、または忘れてしまった時、このアルバムが、今ある小さな幸せに気付くための目印になる音になれたら、と思ってつけました。何かに立ち止まったり、迷った時、聴く人の現在地を知る機能も持てていたらとても嬉しいです。

 

ランドマークのアートワーク


今回、アートワークデザインとフォトを担当して下さったのはクリエイター・Hiratani Moe氏。彼女のやさしく洗練されたセンスが、アルバムの世界観を美しく表現してくれました。海とまばゆい朝陽のジャケットは「何かを失った人が、心に開いた穴から世界を見ている視点」をイメージしています。

それぞれの楽曲をイメージするビジュアルも作成、「光」がひとつテーマになっています。「曲から言葉を抽出して、写真を見る人が音を想像する“余白”を写し出せないか」とご相談、いろんな目線で世界を切り取ってくださいました。

ランドマークと言っても、多くの人が浮かべるひとつの大きなアイコンというよりは、それぞれが大事にしている何気ない風景や日常にあるさりげない場所。例えば公園のベンチだったり、路地裏、いつもの帰り道…そういうありふれた景色がもの凄く意味を持つような瞬間があって、それと寄り添えたら、という思いから制作されました。このアルバムのメッセージの大きな核がアートワークで表現されています。

ここからはその写真たちと共に楽曲をご紹介します。

 

全曲解説


01.1988
アルバムのオープニングを飾る短い曲が欲しくて最後に生まれた曲。よく「愛を信じる」みたいな表現がありますが、もしかしたら愛も僕らを信じてくれているんじゃないかって思うと、すごく勇気が湧いてきます。(愛の擬人化ね)タイトルは僕の生まれた年です。

 
01_1988

ろうそくのような街灯

 
 

02.zero gravity
2つのコードをループさせた、「未来」のイントロのような役割のインスト。ギターを敢えて低く録音してピッチを上げたり、ピアノのペダルを踏む音をサンプリングしてビートにしたり、実験的な要素を盛り込んでいます。ひんやりした宇宙を漂うようなイメージ。いつか無重力の中に行ってみたいです。

 
02_zerogravity
壁に信号機や街の光が反射したもの。eのところのブレがエモい!

 

03.未来
good sleeps、2011年の曲。宇宙や星が好きで、曲のテーマになることが多いです。ボーカルmikaの作詞センスが凄い。真っ直ぐに伸びる光のようなサウンドを表現するのに12年かかりました。時を超えて届く星の光も、音も、あなたに見つけてもらえることはとても幸せなことなんです。

 
03_未来
Moeさんの写真は光の手触りを感じるフィルムカメラの質感が素敵

 

04.neco
30分くらいで詞と曲が出来た不思議な詩。何本も絡み合うギターと変拍子が心地良い。good sleepsのライブで演奏していた形から歌詞を変えて収録しました。タイトルはチェコ語で「何か」という意味。猫は関係ないです。多分。

 
04_neco
直線的なトラックのレーンと木漏れ日や芝生、人工物と自然が混ざり合う一枚

 

05.花束
2021年10月1日配信リリース 4th Single。大切な人への感謝を込めたラブソング。日常の、当たり前にそこにあるものの大切さに気付く時の感覚は、花を見て感じる思いに似ています。アルバムNEW MIXバージョン。

 
05_花束
ドイツの公園で撮られた夕景

 

06.trademark
商品の「商標」、人や物の「特徴」や「個性」を指す言葉。歌詞にある「愛のオーケストレーションのまにまに」僕らは動かされている気分の時があって、誰かの愛を感じる時って、その人のトレードマークが発揮されている時のかもしれません。ブラスとワウペダルギターが大活躍してます。

 
06_trademark
エレベーターの表示板を加工

 

07.curtain
4つのコードをループしていく曲。【D♭m7/9 G♭7 BM7/9 A♭m7/9】一発録りギターソロは、心の中の向井秀徳さんとジョンメイヤーを降臨させました。同じのはもう弾けません(笑)タイトルは「(何かを)覆うもの、被さるもの」

 
07_curtain
西陽射す美しいカーテン…ではなく、こちらは工事現場のフェンス

 

08.ひまわり
2020年6月9日リリース 1st Single。作詞、作曲、録音、MIX、リリースまでの全てを1週間で完成させた、音楽の魔法を強烈に感じる1曲。アルバムバージョンはストリングスが目立つ、キラキラしたMIXにしました。いい曲だ!

 
08_ひまわり
ゴミ捨て場のネットを接写したもの

 

09.neon sign
ネオンサインはラブホテルの隠喩でして…(笑)「下心をポップに」をテーマにストーリーを膨らませていきました。女性の声が入るとより輝くなと思い、ゲストボーカル・miyasaka momoeさんにSweet Honey Voiceをお願いしました。やさしい歌声、キュンキュンします!

 
09_neonsign
絶妙な溶け具合を写真に収めるべく、撮影は時間との戦いでした

 

10.E6
レコーディングの休憩中にギターで遊んでいて、アドリブで弾いたのがすごく良かったんだけど、iPhoneのボイスメモでしか録音していなくて…ミスもあるので何度か弾き直しましたが、無意識には勝てず、最初のテイクを採用。タイトルは最後に鳴らしているコードネームです。

 
10_E6
都内でいい感じのE6表示を探すべく、Moeさんと1日歩き回りました

 

11.cliché
何度も使い回す“常套句”という意味。語源は“印刷版”や写真の“ネガ”から来ているそうです。ネガティヴなことの中にも大切なことはあって、裏を返せば前向きに変換出来るという思いでつけました。「悲しみは色を変えて歓びを焼き付けるネガになる」というフレーズが気に入っています。

 
11_cliché
偶然感光した青いラインが美しい

 

12.中央線に揺られて(outbound)
配信の都合上、シングルバージョンと表記できないため思いついたのが上り(inbound)と下り(outbound)でした。だけに。アルバムではラストに新パートを追加、フィナーレ感が増しました。共同プロデュースJ.Akutsu氏のアイディアが冴え渡る1曲。

 
12_中央線に揺られて(outbound)
高尾山山頂から東京を見下ろした景色

 
 

ということでご紹介してまいりました、「landmark」がみなさんの生活の一部になれたら最&高です。1曲でもお気に入りの曲があれば嬉しゅうございます。ぜひご感想お待ちしております。最後までお読み頂きありがとうございました。たくさん聴いて下さい!

 
 
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Kei Takahashi
2nd Album「landmark」

Produced by Kei Takahashi

Kei Takahashi : Vocal,Background Vocal,Guitar,Bass,Keyboard,All Other Instruments,Programming,Mix,Mastering

Additional musicians
J.Akutsu : Sound Co-Produce (M-5,8,12), Words (M-1,5,8,12)
momoe miyasaka (M-09) : Sweet Honey Voice

Recording,Mix & Mastering Studio:laugh return studio

Art Work
Design & Photo : Moe Hiratani

Special Thanks: mika (good sleeps), Miki Ueno, Ryujikun, YUMECO RECORDS, & Theme Song Project Member, Ena, Tokuchan, Yone, Sho-Chan, Kaito, Shin Washizu, Twitter Follower, My Friends, My Family

Very Special Thanks:YOU!!!

MOYAMOYA RECORDS

 
 
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●お知らせ
①エナさんの新曲「リンドウの道」編曲・サウンドプロデュースを担当しました

 

 

②2023年7月〜AIRDO全路線でエナさんの楽曲が配信決定
北海道の翼、AIRDO(エア・ドゥ)の機内エンターテインメントサービス「Do Sky On-Demand」オーディオプログラムに、エナさんがピックアップアーティストとして掲載、楽曲が配信されることが決まりました。定番曲から最新曲まで、僕も制作に携わった楽曲も流れるかも?!みなさんぜひ今年の夏はAIRDOで北海道へ!(全6曲。運行する全路線対象)
https://www.airdo.jp/corporate/release/2023/release-9437.html


③高橋圭のリットリンクを公開しました!
これまでの楽曲やSNSなど各種リンクをまとめてご覧頂けます。
https://lit.link/zazamino

 
 
 
 


 
2021.08~新プロフィール画像高橋圭(たかはし けい)●作詞・作編曲・演奏家 1988年5月3日生まれ。2011年よりgood sleepsの作曲、ギターとして活動開始、2016年活動休止。現在は演奏から録音、ミックス・マスタリングまでを自身で手掛けるスタイルでソロ活動中。楽曲はApple Music、Spotifyなどで配信中。レコーディングなどお仕事依頼はTwitter DMからお待ちしております。
Twitter:@zazamino

イラスト:matsun
 
 
 
 
 

 
「Ginger Ale Lover’s Radio」ここまでの道のり
 
第1回「はじめましてのご挨拶(自己紹介)」
第2回「Guitar~ダサい僕が手にした最高の相棒~なんでこんな邦題足したの? っていうB級洋画の和訳タイトルみたいなダサさ(ギター愛を語る回)」
第3回「真夏の特大号 想像力(YUKI『チャイム』レビュー、久しぶりのライブ、真夏のドライブプレイリスト)」
第4回「バンドは生き物、刺身はナマモノ。(赤い公園特集)」
第5回「Mr.Children(メジャーセブンス、センス、スタンスとバランス)」
第6回「Mr.Children 『重力と呼吸』アルバムレビュー」
第7回「ミスチル、YUKIライブレポート特集」
第8回「新春新曲祭」
第9回「レコーディングオタク」
第10回「YUKI 『forme』アルバムレビュー」
第11回「音楽で逢いましょう」
第12回「good sleeps Album『SIGNAL』セルフライナーノーツ」
第13回「雨ソング特集」
第14回「Live DVD &Blu-ray『Mr.Children 『Tour 2018-19 重力と呼吸』ディスクレビュー」
第15回「BUMP OF CHICKEN NEW ALBUM『aurora arc』アルバムレビュー。何故彼らは宇宙を歌うのか」
第16回「竹内まりや「カムフラージュ」から学ぶ切なさ講座」
第17回「新曲発表のコーナー『ねぇ、できちゃった』完結編!」
第18回「YUKI『聞き間違い』から学ぶ “ きっと大丈夫 ” 講座」
第19回「何故私たちはクリスマスソングを作り、聴くのか」
第20回「TRICERATOPSから学ぶリフで踊ろう! 講座」
第21回「3ヶ月連続企画! 第1弾 Chara +YUKI『楽しい蹴伸び』から学ぶ無意識の美しさ」
第22回「3ヶ月連続企画! 第2弾「Chara +YUKI 『echo』全曲レビュ ー」
第23回マイフェイバリットエモーショナルソング 10選」
第24回「和田唱(TRICERATOPS)『ALBUM.』から学ぶ笑顔の大切さ講座」
第25回「『ねぇ、できちゃった』のコーナー夏の特別編! 新曲「ひまわり」セルフライナーノーツ」
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