はい、そんな訳で~始まりましたGAL Radio第11回、ラジオを聴くように、友人とカフェで会話するように皆さんと音楽についてお話していこうというコンセプトでお送りして参ります!
 
新元号「令和」が発表されましたね!そして4月と言えば新生活。学校や職場など環境が変わる方も多いかと思います。(←人類が続く限りこの新生活のくだりは永遠なのでしょう)平成という一つの時代が終わり、新しい時代ではどんな音楽と出逢えるのでしょうか。出逢いと別れの季節にお届けする今回は「音楽との出逢い」についてお話したいなと思います。
 
 

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今回何故このテーマについてお話したくなったかというのも、先日近しい人を亡くし「死」というものを物凄く身近に感じました。よく歌う人でした(暗い話ではないです!)。分かっているけど普段は考えない事。いつかは終わるんだなと。そんな事があり過去を振り返ったんです。音楽のおかげで沢山の感情、人、瞬間に立ち会えました。救われるだけでなく時には苦しめられもしましたがこんなに好きで聴いていなければ人生は大きく違っていたと思い、ファンとして音楽とこれを読むあなたへのラブレターを書こうと思います。(擬人化)
 
 

ラジオで出逢う


私の音楽と出逢う場所はラジオがメインでした。音だけのメディア特有の1対1のような距離感、好きなパーソナリティーにメッセージを読んでもらえた時の興奮、深夜こっそり布団に潜り込み、暗い部屋で親にバレないよう雑音混じりの小さな電波を聴く時間、中学生時代、YUKIさんのラジオをMDに録音して生放送のスタジオセッションに震えたり、電話相談コーナーに出演(女の子にフラれた話をYUKIさんのフォローのおかげで面白くイジって頂いたり)高校時代、友人がハガキ職人になって活躍したりと貴重な思い出ばかりです。


DJオススメの世界中の知らない音との出逢いも、普段聴いている曲もラジオから流れてくると何故か特別に聴こえる感覚(あれなんなんですかね)も予期せぬ出逢いがあります。


ラジオでしか聞けないトークも魅力で、以前、爆笑問題の太田さんが自身のラジオ番組「TBSラジオ爆笑問題カーボーイ第517回2007年3月6日放送」Mr.Childrenさんがゲストの回、12th Album『HOME』(2007年3月14日発売)の最後に収録されている「あんまり覚えてないや」という曲についてお話されていた時の印象的な内容があるので一部引用、要約させて頂きます。

 

太田さん
「ミュージシャンにだけはどうしても敵わないと思う部分はメロディーなんだ。旋律というものが伝えるもの。田中は音楽聞かねぇから分かんねぇだろうけど。例えばですよ、ヴェートーベンやバッハやモーツァルトだって急に感動する時あるじゃないですか。何にも言葉もないのになんでこんなに感動するんだろうと、ふと考えるとそれって不思議だなあと。音楽の持っている有利な所は直感だからだと思うんだよね。言葉は理屈じゃないですか。我々は言葉でなんとかしなきゃならないけど、音楽っていうのは直感、人の空気だからそれで感動しちゃうっていうのはもう理屈抜きで感動しちゃうんですよ。だからこそ桜井さんが言ってる「詞のメッセージをちょっと抑える」っていうのはさすが天才バイオリニストだなぁと(一同爆笑)。

で、気が付いたの。「世界中を平和にするメロディー」(正しくは「世界中を幸せにするようなメロディー」)って詞があって、それを思い浮かんだんだけど忘れちゃった、思い出せないって歌。それって確かだなと思った。

要するにメロディーによって感動するっていうのはそれは言葉じゃないから、自然の風景を見て感動するのと同じことなんですよ。自然にこの世の中に存在する音の繋がりだから、メロディーっていうのは。そういう音がこの世の中に存在するってことで感動するってことだから、つまりそれは自然に感動した人はその自然を壊そうって絶対思わないじゃないですか。世の中にその音が存在するってことで感動した人は絶対にそれを壊そうとは思わないんだろうなと。世界中を平和にするメロディーっていうのはそういうことだなと、これを今日会ったら絶対言おうと思ってた。歌いましょうか。(一同爆笑)」

 

と約5分間に渡り興奮気味でお話され、私はガツンとやられました。ずっと疑問だった音楽の素晴らしさを見事に言語化してくれた熱のあるトークはいまだに心に残っています。

 
 
 

変化していく出逢い方


人が想いを伝える手段は変化し続け、繋ぐものも変わっていきます。壁画、狼煙、伝書鳩、絵、手紙、雑誌、新聞、ラジオ、電話、FAX、ポケベル、PHS、テレビ、PC、スマホ(狼煙、伝書鳩て!)。音楽を録音された物として聴く媒体もレコード、カセットテープ、CD、MD、iPodと変わってきました。現在はダウンロードやストリーミングといったデータをPC、スマートフォンで視聴する形態が主流となっています。


定額制ストリーミングはお小遣いの少ない学生さんにとっても手軽で今まで以上に様々な音楽と出会える機会が拡がっているので、J-POPから遠い国の民族音楽まで瞬間的に巡り逢えます。また、Apple Musicでは「はじめての〇〇」といった入門編プレイリストから「モータウン」「ジャズ」などジャンル別のオススメまで充実していてそこから更に深く好みを掘り下げられることも利点です。

 
 
 

五感を使って


私は好きなミュージシャンの作品はなるべくモノとして持っていたいので盤を購入することが多々あります。スマホ一つですぐ聴ける配信の恩恵、手軽さは物凄い幸せなことです。それに対してレコードやCDはプレーヤーに盤をセットして聴くという「手間」がかかります。ただ、そこには『聴く』という行為へのひとつの姿勢があり実はそこが贅沢だったりもします。部屋でじっくりスピーカーで聴くとミュージシャンの音へのこだわりやライブの緊張感、空気感まで聴き取れる好きな曲の新たな良さに気付くのも出逢いのひとつです。


CDショップに買いに行った時の景色やジャケットを手に取った時のドキドキ、店員さんとの会話、帰り道剥がしにくいビニールを爪でカリカリして歌詞カードだけ先に見てソワソワした日の夕暮れの匂いまで。五感を多く使うことで感じ取る記憶と出逢えたことも音楽は共にパッケージしてくれる力があると思います。

 
 
 

音に逢いに行く


平成が進むに連れCDの売上枚数は急上昇、ピークの1998年から現在はかなり減少しましたが、ここ10数年でライブの動員数は上昇し、音楽フェスは相当増えました。ライブに行くと人は若返るといった面白い論文も発表されていて、ハプニングやアドリブ、予期せぬ出会いを生で体験することを私たちは求めているのでしょう。


スタジアムで3万人が共有する歌も、ライブハウスで音と一体化する音も瞬間芸術は全てそのままの形では残りません。その場で消えていく儚さを孕んでます。だからこそ音楽も恋愛と一緒、出逢いに行くことが一番です。

 
 
 

ボイジャーのゴールデンレコード


ってご存知ですか?1977年にアメリカNASAから打ち上げられた宇宙探査機ボイジャーに搭載されたレコードで、中には世界中の歌や「こんにちは」だったり、鳥の鳴き声など地球上の生命や文化の存在を伝える音や画像が収録されています。海に手紙の入った瓶を投げ、それが流れ流れて異国の誰かが受け取るボトルメールってやつの宇宙版ですね。音は空気中を飛んで耳へと届くので空気の無い宇宙では音は伝わりません。


ですが、地球外知的生命体や未来の人類と出逢い解読してくれることを期待し、私たちの存在を受け取ってもらえるその日まで太陽系を飛び出し今もレコードとボイジャーは地球から離れ続けています。物凄く切なく美しいですよね!

 
 
 

まとめ


音楽との出逢いについてお話して参りました。最後にお伝えしたいのは「あなたにとっての大切な音楽をこれからも大切にしていって下さい」という事です。それによってもたらされる些細なポジティブな感情がきっと周りにもなんらかの作用を影響を与えてくれるはずです。

全ての音や歌は受け取る相手がいてはじめて音として認識されます。耳に届いた瞬間、音に命が宿ると思っています。
目に見えないからこそ音楽はいつでもすぐそばであなたに聴かれるのを待っています。
私たちは音楽で出逢えます。。。最終回じゃないです!!
 
 
 

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「ねぇ、できちゃった」のコーナー


 

振り返れば2018年11月から6ヶ月連続で新曲を発表してきました!
今月は「乃木坂で出逢って」という新曲を聴いて頂きたいと思います。
乃木坂46さんの白石麻衣さん推しですが、この曲とは一切関係ございません。
絵描きと歌い手のストーリーで半分実話、半分は空想です。
時に、印象的なシーンは景色の色や匂い、温度、その時話した会話まで鮮明に残っていたりします。全ていつかは別れてしまうし忘れてしまうかもしれないけれど、出逢いがあったことが今に繋がっていて、誰かと出逢うことで人は影響し合うんじゃないかなぁという気持ちで書きました。
アートワークは今回3度目のタッグとなるイラストレーター・umezawawaさんです。
大切な人や風景をイメージして聴いて頂きたいと思います。

 
Come across at Nogizaka
2019.04.06
Words by K Takahashi & K Sawadaishi
Music & All Instruments,Programming by Kei Takahashi
Art Design:umezawawa
 

 
 
乃木坂で出逢って

イメージ通り 大切なものを見つけたよ かくして僕も君のそれになれたかな
「誰のための歌 響かせたいの遠くまで」つぶやいた わからないまま


素直になりたいはずなのに あの日もつよがってたんだ
どこかで聞いた筋書きをなぞるように さよならを導いてしまうよ


そういった理由探して 夢で会えたとして
出逢った頃のあの場所で 微笑みかけているよ 絵に描いても 思い描いても
言葉だけでは 伝えきれないよ 同じ景色の中にいたいよ
ひとりになって 道に迷って 儚いと思い知る


明治通り 簡単にかかる魔法で 眠りの森の中すれ違っても
すっと透き通った涙で この絵の具を溶かしてたの


夕暮れのビルを染めていく まばたきの街角で
時刻通り来ないバスの停留所の隣は いつでもあなたを映す


愛はいつだってさ 願ってもいないのにさ 切なさ連れてやってくるくせに
私たちのせいにして 目の前を通り過ぎていく
そうこうしてるから どうもしないから 空に願いを浮かべてしまうの
春の香り 次の未来へと もういかなくちゃ


この時間を 止めるのは
描きかけの林檎の色が 私の心で歌ってる


あなたといたことを忘れてしまっても 間違いもきっと楽しいわ
はじめて出逢った日のこと 思い出せたよ 素直な僕らを 
昼下がり 東京 地下鉄上がって 緩やかなカーブを曲がった先の
美術館の椅子に座ってた君と 乃木坂で出逢って 運命が変わった


「あなたの微笑みを描くよ」
「いつまでも君だけに歌い続けるよ」

 
 
 
 
 


 
FullSizeR-2高橋 圭●1988年5月3日生まれ。2011年から作曲、ギターを務めるgood sleepsのALBUM『SIGNAL』はiTunes store、Apple MUSICにて配信中。Twitter:@zazamino
 
good sleeps
http://good-sleep.jimdo.com/