はい、そんなわけで~始まりましたGAL Radio。こちらはラジオを聴くように、カフェで友人と会話するように音楽について皆さんとお話しようという場所でございます。


現在日本全国各地で数々の名勝負が繰り広げられておりますラグビーW杯、ご覧になられてますか? 私は幼稚園から大学一年まで15年間ラグビーをプレーしてきました。チームや仲間の為に体を張りそれぞれのの特徴を活かした役割を全うする精神性や教えは今の自分の核となる大事な部分を形成してくれています。先日、お世話になっているラグビー関係の先輩にご招待頂き、ニュージーランド対南アフリカ戦という実質決勝のような夢の対戦カードを日産スタジアムにて観戦する機会がありました。世界トップクラスのプレーを日本でしかも横浜で目の当たりに出来る時間と盛り上がりは一生物でございました。

 
 
高校ラグビー部時代
 
 

現日本代表のキャプテンを務めておりますリーチ・マイケル選手、実は同い年でございまして、高校時代に一度練習試合で対戦をしております。当時から有名選手だった彼の突進にディフェンスでタックルにいった私とチームメイトの栗山、大木の3人で引きづられたまま10mくらい走られたのも今となってはいい思い出です(笑)。先日世界ランク2位のアイルランドをジャイアントキリングするまでに強くなった日本代表の選手たちが活躍している姿から情熱と勇気を貰っております。そんな元ラガーマン高橋 圭がお届けするGAL Radioは微力ながら日本ラグビーを応援しております!

 
 
 

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さて、皆さんは何か継続しているものってありますか? 私はあります(ドヤ顔)! それは1年間、月一で新曲を発表するということです!
この連載が始まった頃は公の場で音楽を奏でる活動はほとんどしておらず作曲をするだけの日々でした。連載開始から半年ほど経った頃、ここをより皆さんと音楽を楽しめる場所に出来ないかと思い新曲を届けたい気持ちが湧いてきました。先月も少しお話しましたが月刊誌のようにやがて「ねぇ、できちゃった」というコーナーとなり、1年間継続するチャレンジに挑みました。その上での心がけたルールがいくつかあります。


・毎月1曲新曲を発表する
・連載で取り上げるテーマや季節にリンクさせる
・1曲に1つ新しいアプローチを盛り込む


それ以外にも細かい遊び心として変なSE音を入れたり、特定の美女をイメージして作曲する変態的制作方法でしたり、発表の日付とかにも色々な仕掛けがあったり。その辺りも聴きながら想像していただけたらと思います。
思い返せば、極真空手の100人組手のように、とにかく迎えくる相手に連続で立ち向かうような(勝手に始めた企画ではありますが)それはもう大変な1年間でした(笑)。


しかし締め切りを越えても編集、校正、校閲して下さる方、ギリギリなスケジュールの中イラストを描き上げてくれる方、作詞のアドバイスや曲のプロデュースをしてくれる方などなど私のわがままに快くご協力してくださった方々のおかげでなんとか完走することが出来ました。この場をお借りして御礼申し上げます。
それでは制作秘話と合わせて発表の時系列順に解説して参ります。まずはこの曲から!

 
 

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●2018年11月10日発表「重力に逆らって」
 

 

ソロ初の曲は未発表のもので是非この連載読者の方に最初に聴いて欲しいと考えていました。曲の元ネタは2016年頃に制作していたもので、Mr.Childrenさんの『重力と呼吸』レビューにちなんで選曲、録音しました。後のミスチルさんのツアータイトルが「Against All GRAVITY」で驚き。自宅スタジオで録音した音になるべく近い音質で聴いて頂きたく音源ファイルをページにそのまま貼り付けて頂く予定でした。が、高音質になれば容量も増えます。ページに貼れる容量に制限があり編集担当のさわこさんから「YouTubeなどに曲をアップしてそのリンクを貼ってみては?」とご提案頂きここからチャンネルで更新していくことに繋がります。この一言がなければ恐らくこの継続企画は始まっていなかったと思います。さわこさんありがとうございます。タイトルにちなんで寝転がりながら逆さまの状態で弾いているギターソロが聴きどころです。

 
 
●12月25日発表「その高鳴りはあのメロディー」
 

 

仮タイトルは「捻くれ者のクリスマス」私の性格の捻くれっぷりはそりゃあもう世界ランキング上位に入るほど、中尾彬さんの首に巻かれてるスカーフ位ねじれていて、遠くから見たら真っ直ぐに見えるほど。単純だからこそ虚勢を張ったりするんだろうし、そんな天邪鬼ですらどうしたって抗えない素直な気持ちもあって「醜さすら美しい」人の一面をテーマに、極力無駄な音を排除しとにかくシンプルに引き算で制作していきました。


作曲時に意識しているのは「聴く方に楽しんでもらえるか」と同時に「自分がいいと思えるか」という感覚を大切にしています。考え過ぎてめちゃめちゃこだわっても仕上がりがイメージと遠かったりする時もあるので時間をかければいいというものでもないみたいです。この曲は勢いでデタラメに歌って10分くらいで歌詞とメロディーのほとんどが出来た所謂降りてきた系の曲。聴きどころは深夜に1時間叩きまくったCメロのトライアングル。

 
 
●2019年1月1日発表「(We wish) A Happy New Year」
 

 

仮タイトルは「新年」。私たちのご先祖様も新しい年が来ることで生まれ変わるような感覚になることで過去を乗り越えてきたのかなぁと先人たちの苦難に思いを馳せながら、ポジティブな言葉だなぁと思いこのタイトルにしました。書き初めのような気持ちで演奏したものを聴いて頂こうと、全ての楽器でワンテイク目を使いました。写真は自宅の近所。

 
 
●2月6日発表「あの娘とCHINA」
 

 

2015年位に書いた曲。一番リラックスして何も考えずに作るとこういう曲が出来ます。なにかとすぐふざけたがる悪い癖の集大成といいましょうか、持ち味と言いましょうか。周りの友人からは評判が良いのですがあまり人気のない曲(笑)。以前、中国雑技団のステージを観に行った際に目隠ししながらお皿か何かを回しているのに感動し、間奏からラストサビまでのギターソロを無駄に目隠しして弾いてます。(80テイク目を採用)

 
 
●3月3日発表「いらない」
 

 

いらないは英語で「not for me」という表現もありYUKIさんのアルバム『forme』レビューにちなんで選曲(否定してる訳じゃないよ)。Aメロ、Bメロを作るのが苦手でサビから作ることが多くサビだけずっと前から存在していた曲で1年半かけて完成しました。

 
俺のiPodさん

https://www.youtube.com/playlist?list=PL76DMAa1XHb2KJ_lHVgylfTBsN_kGlTar

 

のYouTubeチャンネルのプレイリストにてこの曲を取り上げて頂き、より多くの方に聴いて頂くきっかけとなりました。good sleepsのアルバムプロデューサーであるYuichi Nagara氏がベース演奏で参加。彼のえげつない音楽の才能が放つ的確なレコーディングアドバイスでおかげで骨太なロックバラードが仕上がりました。

 
 
●4月6日発表「乃木坂で出逢って」
 

 

転調ソング。E→G→F→D→E→G→F→D→E♭と8回も曲のキーが変わります。この繰り返しで最初のキーよりも最後のサビのキーが半音下がっているのに高くなって聴こえる構成に。サウンド面ではサックスやトロンボーン、トランペットなどのブラスアレンジに初めて挑戦しました。


この曲で初めて歌詞を作詞家のK Sawadaishi氏と共作。ネガティブな内容だった部分を全てポジティブに変換する遊びから一気に良い方向へ進みこの形に。自分の曲の中でも歌詞、メロディー、アレンジのバランスが特に気に入っている曲の一つです。最後のサビの〈昼下がり 東京 地下鉄上がって 緩やかなカーブを曲がった先の〉 という下がる、上がる、曲がる、先という上下、横、前の動きを入れたワンフレーズがどうしても歌いたくそこから膨らませていった曲。その先の美術館は言わずもがな国立新美術館です。

 
 
●5月3日発表「マーチ」
 

 

本格的に作曲を始めたのは22歳くらい。今でもまだまだですがこの曲を書いた当時は知っているコードも少なくシンプルゆえの強さがある曲。めちゃくちゃ難しいコード進行の曲も凄いなって思うのですが、やってることは簡単なのにその人にしか出せない唯一無二な音にずっと憧れています。結果的にこの曲から間奏にシャウトを入れる3部作になった第1弾。

 
 
●6月9日発表「わたしはあめ」
 

 
雨=ネガティブなイメージが多いけれど恵みの雨や生命の源、乾きを潤してくれる存在として雨の日に心に鳴っている音です。間奏の雨風が強くうねるようなコーラス、ギター、シンセサイザーの絡み合うアレンジが気に入っています。何度も曲のイメージイラストを手がけてくれた@umezawawaさん制作のMusic Videoがとても可愛い仕上がりで大好きです。

 
 
●7月7日発表「17」
 

 
この曲達の中で最も古い2012年に書いたものに心の中のCHAGE & ASKAさんを降臨させ2声による掛け合いでサビのメロディーが2つになるリアレンジによって化けた曲。個人的にはナイステイクなオルガンとエレキピアノYAMAHA CP-80が聴きどころです。

 
 
●8月8日発表「波音」
 

 
夏の終わりといえば森山直太朗さんですが、作詞家K Sawadaishi氏から「バラードを」というリクエストを頂き、落書きのようなメロディーに歌詞を乗せてもらいながらふたりで練り練りした曲。サウンド面ではストリングスアレンジに挑戦。映像はDJI OSMO mobile2 というジンバルを使用しiPhoneで4K撮影。映像屋内パートは全て自宅です(笑)。

 
 
●9月9日発表「訳などないよ」
 

 

アコーディオンとウーリッツアーを軸にアレンジし始めましたが突き抜ける感が足りず行き詰まったところ、連載が竹内まりやさんの楽曲をご紹介する回だったこともあり、まりやさんの曲の特徴のひとつである山下達郎さん特有のコーラスワークからヒントを得てこのシュビドゥバコーラスを思いつきました。アウトロでグワーンって鳴っているのは1曲目「重力に逆らって」でも使用しているアナログシンセの音で1年かけて1周して来たよという意味を込めて鳴らしました。

 
 
●10月10日発表「北極星の位置」
 

そして遂にこの企画のフィナーレとなります今月。人間も宇宙の一部なので何か悩んだり疲れた時は星を見上げるようにしています。星を結んでこぐまとかサソリ、柄杓まで描けるって物凄い想像力だと思うんです。古代では舟で航海する時に星の位置で自分の居場所を知るって凄いなとか思ったり、正しい方角かは分からないけれど前に進む道しるべにもなる星。北極星ってあるじゃないですか、あれって南半球では観測出来ないらしくて、ある場所にいる人には見えていてそうでない人には見えない存在。それぞれにとって出会える星があって、宇宙を見上げるたびそれが大事な何かを教えてくれる気がします。

 
 

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そんなこんなでお届けして参りましたGAL Radio、最後までお読みいただきありがとうございます。冒頭のラグビーの話に戻りますが、ラグビーは前にボールをパスするのは反則なので簡単に前進は出来ません。敵に向かって体ごとボールを持ち込んで走るか、キックを上げるか、後方にパスを出して進むしかなくその選択をするのは全て自分次第です。しかしどれもサポートしてくれる仲間がいてくれます。周りの大切な仲間に支えられて今回の企画もチームで困難を乗り越える事が出来たと思っています。地道な積み重ねながらも作品や音楽の楽しさをここで伝えていく事でその感謝を伝えていきたいですし皆さんと楽しさを共有できたらこんなに素敵なことはないなと改めて感じました。では最後の曲です。今月はこの辺で!!

 
Point of Polaris
2019.10.10
Words,Music & All Instruments,Programming,
Mix & Mastering,Music Video Direction by Kei Takahashi
 
 

 
 
北極星の位置

今日もまた嘘ついて 心の音を隠した
こんな時 君なら くしゃくしゃの笑顔で歌うのに
今でも素直に 生きているのでしょうか
星が綺麗に見える夜 手紙をかくよ


ずっと抱きしめてたこぐまのぬいぐるみ
汚くなっても僕の相棒だったよ
君も好きだって知れただけで
今までの全てが輝いた 瞬いた


あの星はいつも僕をみていた
遠ければ遠いほど 会いたい 夢の前 星を結んで
未来も過去も今の前と後 近づけば近いほど忘れる
愚かな生き物だよ


船が浮かぶ海の上 北極星の位置探して
ただ光っているだけなのに進むべき水面を射す


暗闇の中 もがくばっかり 月が見えない時も
悲しみはそばに居てくれた


あと何度心震わせられるだろう
受け取る電波の受信機は 壊れかけのラジオでいい
今も邪魔してる 消極性と意地
想像で描いた放物線 宛先さえ分からずに


喧嘩して泣いても仲直り
並んで走った自転車で切った風の音
どこかのお家のカレーの匂い
夕立ちに打たれ 虹を見た


何度も繰り返し練習した歌は
いつか誰かが 空気揺らすまで
鳴り止まない 愛のうた
旅路の果てが夢と違っても
何光年先で微笑んでる その笑顔を探すから
君と会えた道の先 君のいない道の上

 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
今回用プロフィール高橋 圭●1988年5月3日生まれ。2011年から作曲、ギターを務めるgood sleepsのALBUM『SIGNAL』はiTunes store、Apple MUSICにて配信中。Twitter:@zazamino
 
good sleeps
http://good-sleep.jimdo.com/
イラスト:matsun
 
 
 
 
 

 
「Ginger Ale Lover’s Radio」ここまでの道のり
 
第1回「はじめましてのご挨拶(自己紹介)」
第2回「Guitar~ダサい僕が手にした最高の相棒~なんでこんな邦題足したの? っていうB級洋画の和訳タイトルみたいなダサさ(ギター愛を語る回)」
第3回「真夏の特大号 想像力(YUKI『チャイム』レビュー、久しぶりのライブ、真夏のドライブプレイリスト)」
第4回「バンドは生き物、刺身はナマモノ。(赤い公園特集)」
第5回「Mr.Children(メジャーセブンス、センス、スタンスとバランス)」
第6回「Mr.Children 『重力と呼吸』アルバムレビュー」
第7回「ミスチル、YUKIライブレポート特集」
第8回「新春新曲祭」
第9回「レコーディングオタク」
第10回「YUKI 『forme』アルバムレビュー」
第11回「音楽で逢いましょう」
第12回「good sleeps Album『SIGNAL』セルフライナーノーツ」
第13回「雨ソング特集」
第14回「Live DVD &Blu-ray『Mr.Children 『Tour 2018-19 重力と呼吸』ディスクレビュー」
第15回「BUMP OF CHICKEN NEW ALBUM『aurora arc』アルバムレビュー。何故彼らは宇宙を歌うのか」
第16回「竹内まりや「カムフラージュ」から学ぶ切なさ講座」