はい、そんな訳で~始まりましたGAL Radio。おかげさまで記念すべき第10回を迎えることができました!これも私の努力の、いえ、お読み頂いております皆様のおかげです。ありがとうございます!ラジオを聴くように、友人とカフェで会話するように皆さんと音楽についてお話していこうというコンセプトでお送りして参ります!
 
 

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「オススメしたい!」のコーナー特別版
YUKI 9th Album『forme』(2019年2月6日発売)全曲解説


 
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『forme』特設サイト http://www.yukiweb.net/forme/

 
 
オリジナルアルバムとしては約2年振り。リリースから約1ヶ月が経ちましたが聴けば聴くほど様々な発見があり、その形を変える今作について感じたポイント2つをお話していきます。
 
 
1.YUKIさんが好きなことしてるのがリスナーにとっても楽しい
 
私が最も心を動かされたのがこのアルバムのコンセプトのひとつ「敬愛するミュージシャンと曲を作る」という点です。好きな人たちと好きなことを、という人間にとって至極シンプルかつ最高にカッコいい遊びの末に出来た曲達は歌っていて気持ちいい、演奏して気持ちいいが詰め込まれていて、ただ悦に浸るのではなくあくまでも作品を作り上げるというテーマがあるからこそ聴いていても気持ちいいのです。
 
逆コンピレーションアルバムとでも言いましょうか、豪華作家陣の曲をカバーするかのような、それぞれのクセの強い(良い意味で)メロディーを消化し昇華させ唱歌する。(3コンボ)音楽への真摯的な姿勢と「あの人がYUKIさんに曲を書いたらどんなだろう?」というファンの夢も見事なまでに具現化しています。
 
ミュージシャンシップを感じるアレンジが多く演奏陣も多彩ですので、演奏に耳を傾けるという楽しみも今作にはあります。特にギターソロが多いのとギタリスト名越 由貴夫さんが4曲も参加されている点は私にとってのfor me要素であります。
 
『forme』は自分のための2回目のソロデビューのような、フレッシュなアルバムになりました。(YUKI)
 
という言葉通り「for me」な作品であり、それこそが今作を一番信用出来る理由だと感じました。音楽は自分の外側にいる誰かに向けて発せられるけど、喜んでもらいたい自分の為に歌う。これ以上に信じれるものはないです。
 
 
2.相反するものが共存している
 
直感が導き出す理屈では到底敵わないひらめき。その初期衝動を緻密に計算し、全ての音にそこで鳴っている必然性すら感じさせる。シリアスとコミカル、ファンシーかつセクシー、センチメンタルなのにノスタルジーに浸らない。それらが絶妙なバランスで共存していると思います。音楽はそういった様々な情報を込められるし、リスナーそれぞれの想像力という装置で聴く人の数だけ形を変えることが出来ます。
 
バンドからデビューを果たし常にチャレンジしてきたYUKIさんにしか出来ないこと、PC上で曲作りが出来てしまう今だからこそ音楽家達にしか奏でられない生の音、これこそが今の最高の贅沢だなぁと感じさせてくれる、そんな一枚です!
 
 
 
■全曲解説


 
1.チャイム HALIFANIE
 

 
こちらもご覧ください。
YUKIさんのチャイムについて
連載◆高橋圭「Ginger Ale Lover’s Radio」第3回 真夏の特大号「想像力」
 
疾走感の中で弾ける人懐っこいメロディー。耳という名のカメラのピントが解像度高く瑞々しい音の粒をくっきりと捉えるような清々しい幕開け。冒頭の歌詞「あなたの声が聞きたいの」はまさにファン心理そのもの。その歌声が聴きたかったです! 今までのハイテンションな曲とも一味違う脱皮したような軽やかさがあります。
 
 
 
2.トロイメライ CHI-MEY
 

 
光、雨、空、揺れる草花といった心象風景。そこで感じる「温度」をパッケージしたよう。音が鳴りやんだ時に解決しているようでしていない、夢と現実の狭間にいるような感覚になるのは、この曲のテーマに流れる「過去は変えられずとも自分を『赦す』ことで今とその先の物語が変化していける」と思えるかを委ねられているからかなと。「私達は独りぼっちを認めて初めての恋をした」皆ひとりぼっちだからこそ人を好きになる。キラーフレーズです。GilbertO’Sullivan「Alone Again (Naturally)」を思い出しました。
 
 
 
3.やたらとシンクロニシティ 小形誠

 
YUKIさんお得意、曲のフックとなる四字熟語や言葉遊びが満載。それを独特な譜割と口の開き方、母音と子音の響かせ方でねこじゃらしのようにスルスルと曲の中をしなやかに泳いでいます。「願わくばひざ枕」(して欲しい)というYUKIさん流「I love you」がカッケぇす。。
 
 
 
4.魔法はまだ 吉澤嘉代子
 
冒頭3曲が既発曲で始まりここからアルバムの世界観がより深まっていく2つ目の入り口。吉澤さんらしい肌の上を滑るような妖艶さと生々しさ。歌い方も吉澤さんをオマージュするようなところもあり曲によって声の形を変えていく楽しさを味わえます。「湯の川神社」をこんなにかっこよく乗せられるのはYUKIさんだけ。
 
 
 
5.しのびこみたい 西寺郷太
 
郷太さん、アレンジがもうめちゃめちゃたまりません。耳から涎が止まりません。歌詞の言葉のインパクトからFLASHをサビの頭に持ってきてしまうであろうところを愛の棘を持ってくる凄いテクニック!
 
 
 
6.ただいま 堀込泰行
 
山の上に住んでいる身として個人的に「峠の我が家」がグッときました。この曲もまさにノスタルジーと今のバランスが絶妙。そして、そうです、名越 由貴夫さんのギターがこんなに堪能出来る喜び。こんなにも長く心地良いソロを・・・しみじみ。
 
 
 
7.口実にして 前野健太
 
マグロ漁船、貸した3万円、競馬場、ピンクのコンバースなどどこか綺麗ではない恋愛だったのかと思わせる印象的なワードとそれに相対して美しい曲を書く前野さんの格好良さが浮き彫りになる曲。今までにない震わせるような歌い方も聴きどころです。
 
 
 
8.風来坊 津野米咲
 
サビを転調させるあたりが普通にいかない津野さんらしいです。コードとメロディの絡みが心地よく津野さんのバンドアレンジも聴いてみたい。トオミヨウさんの可愛いアレンジにYUKIさんの声を楽器のように重ねたコーラスとアウトロの「首輪」を彷彿とさせる展開。
 
 
 
9.転校生になれたら 川本真琴
 
JUDY AND MARYの頃担当したアニメ「るろうに剣心」テーマソング繋がりの川本さん。STUTSさんによる今らしいアレンジで風来坊から2曲続く中盤デジタルアレンジコーナー。アルバム全体がアナログな方向に行き過ぎないのもお見事。歌詞はYUKIさんの脳内妄想全開。転校生が来た時って日常の中に舞い込む非日常な存在だったなぁと自分の過去を思い出しつつ、本人は新しい環境に不安や戸惑いが多いのかなと思っていましたが、誰も知らない新しい私になれるというポジティブな存在として捉えるのが新鮮でした。「太陽系外縁天体でも たまご焼き分けてもらうの 半分こ」がこの曲の日常と非日常のミックスを見事に表しています。
 
 
 
10.Sunday Girl 細野晴臣
 
高田漣さんのいなた〜いギターソロや最強のバンドメンバーが奏でる短編映画のような、ロードムービーのように流れる時間は細野さん節全開でとても優しい。細野さんが参加したことでこのアルバムの核となる部分、コーヒーでいうコクや深み、香りがグッと引き立ち味わい深くなります。アナログレコードで聴きたい一曲。
 
 
 
11.百日紅 尾崎世界観
 
さるすべりと読むのかと花の名をひとつ教わる。花言葉を調べると曲のイメージがまた広がると思います。「膨らんで 雲の上」のパートに漂うドリーミーさはBO GUMBOS「夢の中」と重なり初めて聴いた時から昔を思い出しキュンとさせるパワーがあります。ざらっとしているけど優しい。
 
 
 
12.24hours Chara
 
過去にChara × YUKIとしてシングル「愛の火 3つ オレンジ(1999年11月26日発売)」でのコラボやバンドMean Machineではツインドラムを叩き、それぞれの出演番組にコメントを寄せたりと親交の深いお二人。まばたきを「瞼のタンバリン」。。美しい。。Charaさんとの共通点はそう、ギターが名越さんなんです! 轟音ギター炸裂シューゲイザー的要素がこのアルバムのエンディングへと向かううねりとYUKIさんが絶えず投げかけてきたメッセージの根底に流れるような1日の「儚さ」や生きることの「光」を強く照らす一曲。
 
 
 
13.美しいわ YUKI
 
壮大な前曲から一気にミニマムへと移る、歌になる前の心の動きような、字余りではっきりとしすぎていない形状。うつすを平仮名にすることで様々な意味がそこに産まれます。変わっていくことは悲しいこともあるけれどそれを恐れず受け入れるその姿こそ美しいと歌うYUKIさんはやはり女神なのでした。
 
 
 

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「ねぇ、できちゃった」のコーナー


 
とっておきのロックバラード「いらない」が完成しました。
 
制作開始から完成まで実に約1年半を費やし、好きな人に素直になれない不器用さを表現したく「君だけが欲しい」=「いらない 君以外の全ては」という逆説的な意味合いに言い換える遠回しな表現が浮かびました。付き合ったら面倒臭そうな男の歌です(笑)。今回も素晴らしいアートワークを手掛けて頂いたイラストレーターのumezawawaさん。30パターン以上もの膨大なアイディアを出して下さりイメージを伝えながら美しい女性を描いてくださいました。是非聴いて下さい!!
 
 

 
 

Not for me
2019.03.03
Music & Words,All Instruments,Programming by Kei Takahashi
additional musician
Bass & Recording advice:Yuichi Nagara
Art Design:umezawawa

 
 
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Instagram:@umezawawa

 
 
「いらない」

愚かだって気付いても 隠せはしない 正しくもない その仮説 選んでしまう
いつまでも飲み込めない 日々の中に潜む 嘘も知りすぎて


君の視界に入ると何故だか 笑うことだって忘れてしまう
足りてない何かを埋めたいその物体は きっと君の魔法にかかってしまった
君の心を未来が惑わすなら そんな色なんて塗り潰してしまおう
いらんない 君のいない世界など いらんない だけど君は


理詰めで考えても 決めるのは心 怪しくなったところでそれすら選べない
もう誰も寄せつけない そう決めていたのに 戻れないと理解した途端に


揺れたままで憧れを数えては 君が微笑む理由を探してる
今すぐ揃えて裏付けるものを 例えそこが世界の終わるその時だとしても
僕の残りの全ての時間を 君の幸せの為に奉る
彩る悲しみ 色褪せていくよ もう 誰のせいにもしない


永遠なんて永遠に来ない 形なんか残らない それでもこの心音が何かを教えてる


君が心のどこかに住んでいて 終わらせるように微笑む
彩る悲しみ混ざり合っていったら 君と僕の全てが魔法にかかる
矛盾だらけの僕らの深呼吸 欲しいものはひとつだけ
今ある言葉じゃ伝えきれないから いらない もう
君以外の全ては いらないよ

 
 
 
 
 


 
FullSizeR-2高橋 圭●1988年5月3日生まれ。2011年から作曲、ギターを務めるgood sleepsのALBUM『SIGNAL』はiTunes store、Apple MUSICにて配信中。Twitter:@zazamino
 
good sleeps
http://good-sleep.jimdo.com/