はいそんな訳で始まりましたGAL Radio。目には見えない脅威に影響され私たちの生活も振り回されておりますが、どうせなら同じく目に見えない音楽で腰を振り回してたいと思う今日この頃。それぞれの立場や事情がございますがお身体だけは壊さぬようご自愛下さいませ。


前回に引き続き3ヶ月連続企画第2弾としてChara+YUKIさん特集。
New Mini Album「echo」の魅力に迫りたいと思います!

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Chara+YUKI「echo」(2020年2月14日発売 1st Mini Album)
https://www.charayuki.com

 
 

▼共鳴しあう衝動が詰まった作品
アルバムタイトルにもあるようにおふたりが楽しく「共鳴」しあう初期衝動が見事にパッケージされています。長年おふたりの作品を聴いて育ちましたが今回もヤラれました。特設オフィシャルサイトでも事前に発表され話題を呼んでいたトピックとして豪華な作家陣、プロデューサー、参加ミュージシャンの方々との共鳴も今作の魅力のひとつで、またこれがなんとも素晴らしいキャスティングでございまして! 製作陣との化学反応がお二人のイメージを具現化し作品に絶妙なスパイスを効かせています。このことが2020年に鳴らされる意味をしっかりと裏付けていて、お二人を知らない方も楽しめる作品かと思います。他のインタビューやレビューでも語られているので今回作家陣についての詳細は省略し、ここでは音の魅力を中心にお伝えしていきます!


▼全曲解説
1.愛の火 3つ オレンジ(2020Version)
今を祝福するかようなファンファーレとマーチングといった幸福感溢れる始まりから曲のラストに付け足されたパートまで、リアレンジ史上稀に見るAGOさんの素晴らしい編曲。この曲、アルバム、ひいてはおふたりが歩んできたキャリア、リスナーまでも肯定してくれるかのような説得力のある音。それぞれに訪れた日々の喜びや悲しみ全て引っくるめて「まだ始まったばかり」と歌う姿には救われます。毒が抜けたというと語弊がありますが、おふたりのしなやかさがより弾けています。


「愛の火 3つ オレンジ ゆ〜らり ゆ〜らり」の心地よさ解説!
印象的なこのフレーズ、メロディは変わらずコード(和音)が変わっていくことで変わらないものと変わっていくものを想像させます。Aというこの曲のキーである音から下降していく様も深い愛へとゆっくり落ちていくような展開です。途中不安定な和音も混ぜていることでAに戻った時の安心感をより感じることが出来ます。サンプル音源を作ってみたので是非聴いてみてください!


コード進行 A A GM7 F#m FM7 Aadd9 D#m7-5 DM7 A
(厳密なテンションコードはちょっと違うかもですが雰囲気伝われば幸いです)

メロディー サンプル音源1

コード サンプル音源2

バンドと合わせてどうぞ
サンプル音源3



2.You! You! You!
YUKIさんのソロデビュー初期を彷彿とさせるサイケデリック感、ざわめき、イントロだけでもブチ上がるどこかぶっ飛んでる(いい意味で)YUKIさんを久しぶりに感じられてとても嬉しい1曲。ソロの作品とは違い制約から解放されたところで表現しているようで嬉しい。とにかく嬉しい。


3.ひとりかもねむ
大ベテランお二人の声をどう調理するかを実験しているようで、コラボレーションならではのプロデュースされつつもセルフプロデュース力のあるおふたりの芯も同時に感じられます。ひとりかもねむのループでトリップしていく、言葉のメッセージよりも先に「音として響きがいいワード」が選ばれているような音に導かれる感覚を味わえる真夜中のドライブで聴きたい1曲。


4.楽しい蹴伸び
先行リリースされた際の感想はこちら
第21回「3ヶ月連続企画! 第1弾 Chara +YUKI『楽しい蹴伸び』から学ぶ無意識の美しさ」

歌詞中の『セロファンで赤青飛び散る水飛沫』というフレーズ、昔雑誌の付録などに付いてきた3Dメガネ(左右青と赤のセロファンのフィルムが貼られていてフレームは厚紙のメガネ。見ると3Dに浮き出て見える)。
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飛び散る水飛沫が3Dに見える=今まさに自分の眼前で現実として起きている=目の前に君がいる喜びを歌っているとも捉えられ、物凄く素敵な表現だなぁと思いました。


5.YOPPITE
おふたりのツアーサポートメンバーでもあるドラマー・白根賢一さんらしい軽快かつタイトなリズムと浮遊感あるエレキピアノの音色、サビのトライアングルがアクセントとなりどこかひんやりとした冷たさと艶っぽさを感じさせます。途中使われている階段上に上がっていくシンセ音、僕も好きでよく使ってます。白根さんもMac用音楽制作ソフト「Logic Pro X」で制作したのかな? と想像したりなんかして。

1:55辺りで鳴るシンセ音はこちら
サンプル音源4

 
僕もこの2曲で使ってます。
 
「その高鳴りはあのメロディー」 2:22辺り

 
 
「Noël」 3:16変顔してる辺り

 

そして髙山徹さんによるMIXが心地良い!(日本を代表するエンジニア。スピッツさんやCorneliusさんなどなど多くの名盤をいくつもご担当されていらっしゃいます。)
https://www.switchback-studio.com


6.鳥のブローチ
イントロのフレーズからサビのキャッチーでカラッと切ないメロディーまでCharaさんワールド全開。Coldplayのようなスケール感と晴れた青空のような心地よい耳触り。YUKIさんの歌い方にCharaさんが入り込んでいるようで、明らかに共鳴し合っていることが確認できる一曲。ライブでは名越 由貴夫さんがギター弾くのかなと思って耳から涎垂らしてます。


7.Night Track
YUKIさんの楽曲「ティンカーベル」にも通じるピースフルな世界観。子供たちの声のような無邪気なコーラスとオルガンやティンパニがふたりの歌と絡みループしていく様は、シンプルな日常にある幸せを探し、かき集めて何も考えず体揺らしながら踊る動きを歌にしたよう。「同じ繰り返しの中にこそ喜びは潜んでいる」と言わんばかりに自分がご機嫌でいることで世界は煌めくことを教えてくれます。


8.echo
アコギのワンストローク目から岸田さんっぽい弾き方(Charaさんだったらごめんなさい)。岸田さんプロデュースではなくプレーヤーとしてお声をかけるあたり、これまた絶妙。Jellyfishからアイリッシュ系まで世界の音楽に精通している岸田さんの「空気」も一緒に感じさせる独特な弾き方に乗せられた歌声はお三方の肩肘張らない魅力を感じます。くるりさんファンでもあります僕にはなんとも嬉しい共演です。


▼まとめ
音楽にも数学的な要素は沢山ありますし、理論は知っているに越したことはありません。しかし私たちは理論や数字よりも前に宇宙的なエネルギーを心に持っていてあくまで大切なことは「感覚を信じる」ということなのではと今作を聴いていて感じました。冒頭に「初期衝動をパッケージした作品」とお話しましたが、お二人の中には直感を大切にするための日常があり、音楽があるのではと思わせてくれる1枚です。今回はこの辺で!

 
Chara+YUKI Mini Album『echo』Teaser

 
 

*個人的なおしらせ*
高橋圭 1st Solo Album『RADIO WAVES』好評配信中!
iTunes Store、Apple MUSIC、Spotify、LINE MUSIC、Google Play、Amazon etc…
https://linkco.re/eeAAN0HV

 
 
写真2-RADIO WAVES
 
 

1.Ginger Ale Lover’s
2.17
3.その高鳴りはあのメロディー
4.マーチ
5.(We wish a) happy new year
6.いらない
7.重力に逆らって
8.波音
9.北極星の位置
10.あの娘とCHINA
11.わたしはあめ
12.訳などないよ
13.乃木坂で出逢って
14.Noël(新曲・ボーナストラック)


1.Ginger Ale Lover’s
2.seventeen
3.That high sounding like a that melody
4.March
5.(We wish a) happy new year
6.Not for me
7.Against the gravity
8.Sound of waves
9.Point of Polaris
10.To China With Her
11.I am Rain
12.No Reason
13.Come across at Nogizaka
14.Noël

 
 
 
 
 
 
 


 
今回用プロフィール高橋 圭●1988年5月3日生まれ。2011年から作曲、ギターを務めるgood sleepsのALBUM『SIGNAL』はiTunes store、Apple MUSICにて配信中。Twitter:@zazamino
 
good sleeps
http://good-sleep.jimdo.com/
イラスト:matsun
 
 
 
 
 

 
「Ginger Ale Lover’s Radio」ここまでの道のり
 
第1回「はじめましてのご挨拶(自己紹介)」
第2回「Guitar~ダサい僕が手にした最高の相棒~なんでこんな邦題足したの? っていうB級洋画の和訳タイトルみたいなダサさ(ギター愛を語る回)」
第3回「真夏の特大号 想像力(YUKI『チャイム』レビュー、久しぶりのライブ、真夏のドライブプレイリスト)」
第4回「バンドは生き物、刺身はナマモノ。(赤い公園特集)」
第5回「Mr.Children(メジャーセブンス、センス、スタンスとバランス)」
第6回「Mr.Children 『重力と呼吸』アルバムレビュー」
第7回「ミスチル、YUKIライブレポート特集」
第8回「新春新曲祭」
第9回「レコーディングオタク」
第10回「YUKI 『forme』アルバムレビュー」
第11回「音楽で逢いましょう」
第12回「good sleeps Album『SIGNAL』セルフライナーノーツ」
第13回「雨ソング特集」
第14回「Live DVD &Blu-ray『Mr.Children 『Tour 2018-19 重力と呼吸』ディスクレビュー」
第15回「BUMP OF CHICKEN NEW ALBUM『aurora arc』アルバムレビュー。何故彼らは宇宙を歌うのか」
第16回「竹内まりや「カムフラージュ」から学ぶ切なさ講座」
第17回「新曲発表のコーナー『ねぇ、できちゃった』完結編!」
第18回「YUKI『聞き間違い』から学ぶ “ きっと大丈夫 ” 講座」
第19回「何故私たちはクリスマスソングを作り、聴くのか」
第20回「TRICERATOPSから学ぶリフで踊ろう! 講座」
第21回「3ヶ月連続企画! 第1弾 Chara +YUKI『楽しい蹴伸び』から学ぶ無意識の美しさ」