始まりましたGAL Radio。現在(ほぼ)毎週お届けしている「YUMECO RECORDSのテーマソングを作ろう!」ラジオ。当サイト編集長・音楽ライターの上野三樹さん、ミュージシャンの藤田リュウジくんと一緒に当サイト10周年記念ソングを制作すべく、様々な方の夢集めをしております。(アーカイブもあるので是非一度聴いてね)

今回はリュウジくんがフロントマンを務める、ホタルライトヒルズバンドのニューアルバム『SING A LONG』についてお話します。曲のイメージは人それぞれ、その数だけ正解ですのでひとつの感想としてお楽しみ頂けますと幸いです。

 
 
 

人間愛に満ち溢れた音楽賛歌


今回僕からお伝えしたいのはこのアルバムが名盤だということ、そしてなんとかしてこの素晴らしい名曲たちを聴いて頂きたいというシンプルにこの2点です! 早速各曲のレビューをどうぞ!
 
 
 
1.ラブソングス
愛って素敵な印象の言葉ですが、時にそれが悩んだりする原因になってしまうことも。「白か黒、正義と悪、人間はそんなに単純な生きものじゃない」というフレーズからも、愛が悲しい出来事を産んでしまう側面もあるからこそ、次に続く「だから話し合おうよ」がリュウジくんの『ポップスに選ばれた歌声』(個人的にそう呼んでいます)に乗せられた時、独りの時間や負の感情も含めて愛おしく思える、その美しさに気付くに至るまでも全て愛なのかなと。タイトルが複数形なのもこれまで産まれた人々の思いが育んで来た全ての曲を肯定してくれるようです。

 

 
 
2.金魚のジョン
言わずと知れたNHK「みんなのうた」で2020年10~11月度放送されたのも記憶に新しく、子供からお年寄りまで共感出来る(これは本当に凄いこと!)聴くたびにほっこりとした気持ちにさせてくれます。
音楽は歌詞やメロディー、アレンジ、演奏、歌声、ハーモニーなど良いと思える要因を多分に含んでいるため、その魅力を伝える為にどこを切り取るのが最善かいつも難しいのですが、確かなのはホタバンの音楽への情熱が詰め込まれていること。楽曲至上主義というか、その曲の魅力を最大限引き立たせる演奏が出来るバンドって凄いと思います。(僕なんかはすぐエゴが出るタイプのミュージシャンなので)すなわちホタバンは凄くいいバンドです!

3.Sunny Sunset Music
iPhoneで録音された小倉大輔くん(以後大ちゃん)のベースが心地良いナンバー。音楽の実験的な要素の面白さは意識や聴感上分からなくとも、確実にリスナーの無意識な部分に届きどこかに作用していく「かもしれない」と信じて奏でる部分あると思ってます。料理で例えるなら隠し味のような、「〇〇のスパイスが効いてるね!」と言われるのも嬉しいけど「美味しいね」と笑顔になってくれるのならそれで良いと思えるような。圧倒的音楽賛歌。

4.「またね」
自然界に存在する美しい音のような演奏とコーラスが印象的。タイトルの「またね」が鍵カッコ付きなのも切ない。心の奥にしまってあった淡い記憶がこの曲を聴いている時間は色を取り戻すような郷愁に誘われます。大切な人の顔が浮かぶ音って凄い。夕暮れに聴くと胸が締め付けられてヤバいです(良い意味で)。タイムマシーンはありませんが記憶に直結する思い出再生装置としての役割が音楽にはあると思っていて(その話も今度どこかで)この曲もそんな力を持っています。

5.biotope(instrumental)
このアルバムにとって、またホタバンが歩んできた歴史にとっても重要な役割を果たしているように感じるインスト曲。この曲があるとないとでは作品としての聴こえ方がだいぶ変わる気がします。過去と未来、現実と夢、生と死、相対する2つを繋ぐ異空間を漂い、無重力をワープするような美しい音の旅を体験するようで、「ラブソングス」で始まり前曲「またね」で別れを経験、この曲を経由し次曲へと進み「希望」に辿り着く曲順、展開は圧巻です。
ちなみにタイトルの語源は「bio(命)」「topos(場所)」というギリシャ語を組み合わせた言葉。生物生息空間などの意味でホタルが住む自然や水質の綺麗な環境などを指したりします。

6.ダンデライオンの夜に
「良い音ってなんだろう」そんな問いを以前大ちゃんがしてくれました。ひょっとしたら…と最近考えているのは「心の揺れに寄り添う音」なんじゃないかなと。音に感動する理由もこれまた沢山ありますが、音質やスキル、常識を超えて、心の中の自分にしか分からないと思っている部分、普遍的な部分に届く音に感動することが僕は多いです。僕らの心はプラスとマイナスの両方を持っていてその揺らぎが喜びや悲しみとなります。そして音も空気の揺らぎです。その“揺らぎ”の波長が合った時、心に響くのかなと。この曲もそんな存在のひとつです。

7.希望
エレピが染み渡るイントロからひだまりのような温かいバンドサウンドが加わっていく展開が胸を打つラストナンバー。どんなに今が辛かったり、想像したものと別の未来だとしても、自分と周りの人々、そしてそれを結ぶものを希望と呼ぶのでしょう。こんな素敵な歌詞をこんな素敵な演奏に乗せられるのはどれほどホタバンのメンバー、そしてスタッフはお人柄が良いのだろうか!! 聴き終わる頃にはいつも少し心が浄化されています。リュウジくんからバンド、音楽に対する想いとして歌われていますが、リスナーもそれぞれの大切な人を思い描ける懐の深い一曲です。

 
 

まとめ


「みんなで歌う」という意味のアルバムタイトル。一緒に同じ場所で歌うということだけでなく、それぞれの場所で心の中で歌う、という風にも捉えられるメッセージ。音楽は時代に消費される側面があります。素敵な歌はもうこの世界に沢山あるのに、それでも僕らは新曲を書きたい、聴きたいと思います。それは消費とは違う、普遍的、本質的な部分に触れた時、時代を飛び越えていくことを知っているからだと思っています。音楽が役割を全うする瞬間は誰かの耳に届く瞬間に果たされます。産み落とされたばかりの素敵な音をリアルタイムで聴ける今、この喜びを皆さんと共有出来たら最&高です。ゴリ押しするのはあまり好きではないけど、心からオススメする作品です!

大ちゃんからの「良い音」の問いの答えはまだ出ていませんが、このアルバムの曲たちは僕にとっての良い音に間違いありません。

では今回はこの辺で。最後までお読み頂きありがとうございました。

 
 
SING_A_LONG_JKサムネ&本文最後掲載用画像
▼『SING A LONG』各配信サイトURL
https://nex-tone.link/A00087134

▼夢集めラジオの詳細はコチラ
すべてのYUMECOたちへ送る夢讃歌! 「YUMECO RECORDSのテーマ」制作プロジェ
クト始まります!
http://www.yumeco-records.com/archives/12978

 
 
▼高橋 圭からの個人的なお知らせ
NEW SINGLE「中央線に揺られて」2021.06.09 Release!!
約6ヶ月ぶりのシングル、新曲としては「ひまわり」からちょうど1年ぶりとなる今作。
日々の葛藤や気持ちの揺らぎをカントリー調の小気味いいリズムに乗せて描いたポップなナンバーです! 是非!

 
▼ダウンロード・ストリーミング配信サイトURL
https://linkco.re/HyvFDuyx

 
 
3rdsingleJK
 
 

3rd SINGLE「中央線に揺られて(inbound)」
Produced by Kei Takahashi & J.Akutsu
Words:J.Akutsu & K Takahashi
Music:Kei Takahashi
Arrange:Kei Takahashi & J.Akutsu
Art Work:J. Akutsu
Kei Takahashi :Vocal,Background Vocal,Guitar,Keyboard,All Other
Instruments,Programming,Mix,Mastering
Recording,Mix & Mastering Studio:laugh(rough) return studio

MOYAMOYA RECORDS

 
 
 
 


 
今回用プロフィール
高橋圭(たかはし けい)●作詞・作編曲・演奏家 1988年5月3日生まれ。2011年よりgood sleepsの作曲、ギターとして活動開始。2枚のシングル、1枚アルバムをリリース。2016年活動休止。演奏から録音、ミックス・マスタリングまでを自身で手掛けた意欲作。アルバム『RADIO WAVES』、シングル『ひまわり』共にApple Music、Spotifyなどで配信中。
お仕事依頼はTwitterからお待ちしております。Twitter:@zazamino

イラスト:matsun
 
 
 
 
 

 
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