始まりましたGAL Radio。ここは友人とカフェでまったり過ごすように、音楽の魅力についてお話する場所です。ゆっくりしていって下さい。

僕は最近、アルバム制作の日々を送っています。
産まれたメロディに合う言葉やコードの響き、アレンジを模索し、思い付きをこねくり回します。もっと良いアイディアは無いかと捻り出し、一日かけても上手くいかなければゴミ箱へ。一晩寝かせた翌日、更に振り絞った挙句、段々何をやっているのかよく分からなくなっていき、昨日のをゴミ箱から拾い直したら最初のが意外と良くてそれを採用…といった感じでプリプロ、レコーディングを地道に進めています。この作品を発表するまでは絶対に死ねないと思うくらいの名曲が産まれています(自分で言うよね&ハードル上げるよね)。それくらいの情熱と魂を注ぎ込みたいと思います。

今回はそんな新曲たちの中から先日リリースされた「中央線に揺られて(inbound)」のギターソロでも使用したギターについてお話致します。

 
 

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良いギターとは


そもそも『良いギター』とは何か。個人的には

「自分のイメージする音を鳴らしてくれる」「見た目が好き」

この2点で選ぶことが多いです。
楽器ですからイメージする音を求めて購入するのは大前提なのですが、特にギターは個体差があり弾きやすさや予算も含めるとイメージピッタリの音に辿り着くのが難しい。同じ機種でも年代や時期によって当たり外れもあるので、基本は試奏して購入がベターです。

ある程度のお金を払えば一般的に良いと言われている物は手に入りますが、他人が良いと言っても自分に合っていなければ高価でもそれは良い音ではない訳で、あくまでも自分のイメージに合っているかどうかが大事。相性という点においては仕事や恋愛、人間関係同様、まさに「出逢い」なのです。

また、ギターを語る上で重要なのは「経年変化」があること。ボディなどの材料は木で出来ている為、弾くほどに音が変わっていく物もあります。持ち主はそのギターの良い部分を引き出す弾き方を体得したり、ギターも優しく弾けば優しい響きが、ハードな弾き方だと強く鳴るようにと、持ち主もギターも共に変化していくのです。ヴィンテージが高価なのはその時間も刻まれているからでしょう。ギターと人が「共鳴」していると考えるとたまらなく愛おしい!(偏愛)

ですから最初から思い通りの音ならそれは運命ですし、最初は思うように鳴らなくても長い付き合いで関係性が築かれ良い音になっていくという楽しみもあるので、育て、育てられるというのもワビサビかと。しかし欲しいギターが遠方にあり直接良い音か判断出来ない場合もあります。そこで判断基準となるのがそう、見た目です。

 
 

見た目、ミシガン、ワシントン条約


ある日、Instagramに上がっていた一枚のお写真。そこにはネイビーライクなブルーのボディにオフホワイト系のパーツを施した美しいギターが。以前から探していたレスポールスペシャルという機種を、Gibson Custom Shopが限定カラーを販売したよという投稿。見た瞬間一目惚れでした。それからというもの、ほぼ毎日楽器通販サイトをくまなく徘徊。日本には入って来ていないようで、reverb.com(世界中のギターなどの楽器が出品されている販売サイト)を中心にチェック。2年間探し続け、ようやく手に入れた一本がこちら。

 
 
画像1&サムネイル 用

Gibson Custom Historic ’60 Les Paul Special Single Cut Reissue 2018 Candy Apple Blue

 
 

アメリカ大統領選挙の暴動真っ最中のミシガン州から遥々やってきた彼(←擬人化)。
以前はワシントン条約により、使われている木材の種類によって直接輸入出来ませんでしたが、条約が改定され直接購入が可能に。Google翻訳に助けてもらいながら英語でメールのやりとり。届いた時の感動も一入でした。

音色の特徴はソープバーと呼ばれる石鹸のような形のピックアップP-90特有の太くてパワーはあるけれどジャキッっとした鋭さもあるキャラクター。荒ぶった良い音してやがります。正確な生産数は分かりませんが、ほとんど出回っていないレアカラーで、恐らく日本にはこれ一本!(ごめんなさい、自慢だけど2年探してたから許してね)魅力的なカラーは大抵販売数が少ないんです。好きになる色がレアなのか、レアだから好きなのか。


昨年末リアレンジしたバージョンでリリースした「Noël」の追加ギターフレーズはこれでレコーディングしています。

 
 
▼YouTube-高橋圭「Noël(Single Version)」(2:03〜)以降イヤホン右側に登場します。

 
 
新曲のソロも。
▼YouTube-高橋圭「中央線に揺られて(inbound)」(3:03〜)


 
 
 

ブルーに惹かれる理由

所有しているギターの中からブルー系のものを並べてみました。
 
 
画像2


色名称(左から)
Candy Apple Blue
Deep Lake Placid Blue
Chicago Blue
Lake Placid Blue
Lake Placid Blue


一番好きなカラー「Lake Placid」はアメリカ・ニューヨーク北東部の村の名前に由来。
1960年代からキャデラックなど車に使用された色で、日焼けし色褪せると濃い緑がかった湖の色のような青に!
(地名からネーミングしたり、車の塗料に使うカラーをギターに使う辺りさすがUSA)

今回購入したCandy Apple Blueも光の当たり具合で見え方が変化するんです。
好きな見た目ですと自然と手に取る機会が増え、一緒にいる時間が長くなる事で音にも変化が表れるという訳で。
共に年齢を重ねていくような時間を楽しめるところに魅力を感じています。

次に欲しいギターはCadillac Greenという緑なんですけどね…(限りない欲望)。

 
 
 

まとめ


音楽やギターの良さは自分にとってカッコいいかどうか。他人の尺度ではなく何を選ぶか、それに尽きます。それでも魅力を共有出来るのは、そうやって選ばれた楽器で想いを込めて演奏された世界中の曲が何よりの証拠でしょう。という言い訳でギタリストは何本もギターを購入します。お許しください(誰に向けてよ)

ギターに限らず、素敵な時間を共に過ごしてくれる楽器が傍らにいてくれる人生は言わずもがな最&高です。楽器を始めたい! という方はこの夏、是非手に取ってみてはいかがでしょうか。最後までお付き合いありがとうございました!

 
 

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▼お知らせ
新曲「中央線に揺られて(inbound)」好評配信中!
楽曲配信URL https://www.tunecore.co.jp/artists/takahashikei

 
 
 
 


 
2021.08~新プロフィール画像高橋圭(たかはし けい)●作詞・作編曲・演奏家 1988年5月3日生まれ。2011年よりgood sleepsの作曲、ギターとして活動開始、2016年活動休止。現在は演奏から録音、ミックス・マスタリングまでを自身で手掛けるスタイルでソロ活動中。楽曲はApple Music、Spotifyなどで配信中。レコーディングなどお仕事依頼はTwitter DMからお待ちしております。
Twitter:@zazamino

イラスト:matsun
 
 
 
 
 

 
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