先日、TBS赤坂ACTシアターで上演されている舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を観てきました。映画『ハリー・ポッター』シリーズは、ダニエル・ラドクリフ演じるハリー・ポッターが、ホグワーツ魔法魔術学校の同級生ハーマイオニー、ロンとともに魔法や魔術を駆使しながら、両親の命を奪った最強で最悪な闇の魔法使いヴォルデモートに果敢に立ち向かっていく冒険物語です。舞台版は、これまで世界6都市で上演され、多くの賞を受賞してきた人気作。アジア初上陸となる日本公演では、ハリー・ポッター役に藤原竜也さん、石丸幹二さん、向井理さんのトリプルキャストで7月から上演中です(この日は向井さんがハリーを演じられる日でした)。劇場の最寄り駅、地下鉄・赤坂駅界隈はハリー・ポッター一色の華やかな雰囲気。地上への階段にはレッドカーペットが敷かれ、タイムターナー(過去にタイムスリップできる時計)のオブジェが私たちを迎えてくれます。劇場にはグリフィンドールはじめ4つの寮のフラッグが掲げられ、まるで私たちもホグワーツ魔法学校に入学したようなワクワク感! 開演前から気分が盛り上がります。

 
 
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<STORY>
ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後、
かつての暗闇の世を思わせる不穏な事件が
あいつぎ、人々を不安にさせていた。
魔法省で働くハリー・ポッターはいまや三人の子の父親。
今年ホグワーツ魔法学校に入学する次男のアルバスは、
英雄の家に生まれた自分の運命にあらがうように、
父親に反抗的な態度を取る。幼い頃に両親を亡くした
ハリーは、父親としてうまくふるまえず、
関係を修復できずにいた。
そんな中、アルバスは魔法学校の入学式に向かうホグワーツ特急の車内で、
偶然一人の少年と出会う。彼は、父ハリーと犬猿の仲である
ドラコ・マルフォイの息子、スコーピウスだった!
二人の出会いが引き金となり、暗闇による支配が、
加速していく・・・。
─ 時空を超えて、過去と現在が不気味に交錯する中、新たな暗い影が忍び寄る。
果たしてハリーとアルバスは、
暗闇による支配を止めることができるのか。(公式HPより)


 

この『ハリー・ポッターと呪いの子』は、シリーズ最終作『ハリー・ポッターと死の秘宝(PART2)』のエピローグから始まります。37歳になったハリーが、キングス・クロス駅の9と4分の3番線で息子アルバスをホグワーツ魔法学校へと見送るシーン。完結してしまった『ハリー・ポッター』のその後の物語を、こうして舞台という形で再現されることはとても新鮮で、そのうえ日本で観ることができるなんて、続編を望んでいたファンにとっても感慨深いものだったのではないでしょうか。まだまだ上演中のため詳細については触れられませんが、ファンタスティックな物語とともに目の前で飛び交う魔法には目も心も奪われ、瞬きする一瞬さえも惜しく感じられるほど、とにかくすごい! の一言。まさに「ハリー・ポッターの世界」と私たち観客が一体となった、魔法の世界の実現でした。

 
 
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向井さん演じるハリーは、一見とてもスマートで淡々としているけれど、実はとても熱くて愛情深い、“向井さんそのもの”という印象を受けました。自分とよく似たアルバスを心配するあまり、思いが空回りしてしまう苛立ち、うまく伝えられないもどかしさ…。向井さんの表情から絶妙な心の機微が感じ取れるようでした。

アルバスを演じるのは(ダブルキャストの)福山康平さん。今回、物語の中心を担うアルバスは、ほぼステージに立っているという大役。福山さんは大きな瞳を輝かせながら、ハリーの息子という重圧、葛藤や父親譲りの正義感の強さと勇敢さ、そして優しい心を見事に表現されていて、本当に素晴らしかったです。登場人物が愛に満ちていて、ハーマイオニー、ロンはもちろん、映画版に欠かせなかった人物たちがどんなシーンで登場するのか、またどんなことを語るのかという点も見どころのひとつです。映画を観ていなくても十分楽しめるけれど、私はあの日からむさぼるように映画版を観ているので、お時間があれば少しでも観ておくとより楽しめるかもしれません。

目を見張るような大迫力の魔法の数々は驚きと興奮の連続。公式SNSによると、登場人物たちが杖を使う魔法だけでも約60回、またセリフにも多くの仕掛けがあるのだそうです。私たち一観客ではなく、目の前で繰り広げられる出来事の目撃者であり、すっかり彼らの旅(冒険)の同行者のよう。背筋がゾクッとしたり思わず笑ってしまったり、感情が込み上げてきたり…3時間40分があっという間に感じられるほど濃密で至福の時間でした。ハリー役の藤原さんは残念ながら9月末で出演が終了してしまいましたが、キャストによって演じる人物が纏う空気感やアプローチが絶妙に違うのも舞台の醍醐味でしょうか。また、今回は観る場所によっても発見が多々ありそうな点も、また観たいと思う魅力のひとつなのかもしれません。

私もこの先、この作品がどんな風に熟して味わいを増していくのかを見届けていくつもりです。現在、チケットは来年5月まで発売中とのこと。ぜひ、舞台版『ハリー・ポッターと呪いの子』を一人でも多くの方に体感していただきたいと思っています。詳しい情報は公式HPでご確認ください。
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』|公式サイト

 
 
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プロフィール用写真shino muramoto● 京都市在住。現在は校閲をしたり文章を書いたり。昨日(10/5)は石崎ひゅーいさんの東名阪ツアー「、&(てんあんど)」でした。10周年YEAR、3会場ごとにゲストを迎えるというスペシャルなライブで初日名古屋は、ひゅーいくんが何かあったら一番に相談するという尾崎世界観さん。ひゅーいくんのほうが1つ年上なのに、すっかり弟キャラのひゅーいくんのことを私たちに「これからもよろしくお願いします」と言ってくれる、兄貴みたいなかっこいい人でした。二人で歌ってくれた「ナイトオンザプラネット」は沁みました。
 
 
 
 

【shino muramoto「虹のカケラがつながるとき」】
第66回「自らを追い込んで飄々と一人芝居に挑む! 高橋一生さん『2020(ニーゼロ ニーゼロ)』観劇レポート」
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第64回「能楽の舞台に舞い降りたポップスター! アニメーション映画『犬王』を鑑賞して」
第63回「MANNISH BOYS-Anniversary LIVE TOUR 2022 GO! GO! MANNISH BOYS! 叫び足りないロクデナシ- 」
第62回「10年分の想いを花束にして。石崎ひゅーい Tour 2022“ダイヤモンド”」
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第37回「奇跡の歌声・Uru『オリオンブルー』が与えてくれるもの」
第36回「名手・四位洋文騎手引退によせて。」
第35回「2020年1月・想いのカケラたち」
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第33回「ドラマティックな世界観! King Gnuライブレポート」
第32回「自分らしくいられる場所」
第31回「吉岡里帆主演映画『見えない目撃者』。ノンストップ・スリラーを上回る面白さを体感!」
第30回「舞台『美しく青く』から見た役者、向井理の佇まい」
第29回「家入レオ “ 7th Live Tour 2019 ~Duo~ ”」
第28回「長いお別れ」
第27回「The Birthday “VIVIAN KILLERS TOUR 2019”」
第26回「石崎ひゅーいバンドワンマンTOUR 2019 “ゴールデンエイジ”」
第25回「中村 中 LIVE2019 箱庭 – NEW GAME -」
第24回「MANNISH BOYS TOUR 2019“Naked~裸の逃亡者~” 」
第23回「控えめに慎ましく」
第22回「藤井フミヤ “35 Years of Love” 35th ANNIVERSARY TOUR 2018」
第21回「かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-」
第20回「真心ブラザーズ『INNER VOICE』。幸せは自分のなかにある」
第19回「KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26~これからもヨロチクビーチク~」
第18回「君の膵臓をたべたい」
第17回「Toys Blood Music(斉藤和義 Live Report)」
第16回「恩返しと恩送り」
第15回「家族の風景」
第14回「三面鏡の女(中村 中 Live Report)」
第13回「それぞれの遠郷タワー(真心ブラザーズ/MOROHA Live Report)」
第12回「幸せのカタチ」
第11回「脈々と継承されるもの」
第10回「笑顔を見せて」
第9回「スターの品格(F-BLOOD Live Report)」
第8回「ありがとうを伝えるために(GRAPEVINE Live Report)」
第7回「想いを伝えるということ(中村 中 Store Live/髑髏上の七人)」
第6回「ひまわりのそよぐ場所~アベフトシさんを偲んで」
第5回「紡がれる想い『いつまた、君と~何日君再来』」
第4回「雨に歌えば(斉藤和義 Live Report)」
第3回「やわらかな日(GRAPEVINE Live Report)」
第2回「あこがれ(永い言い訳 / The Birthday)」
第1回「偶然は必然?」

[Live Report]
2017年1月27日@Zepp Tokyo MANNISH BOYS “麗しのフラスカ” TOUR 2016-2017
斉藤和義 Live Report 2016年6月5日@山口・防府公会堂 KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016 “風の果てまで”
GRAPEVINE/Suchmos Live Report 2016年2月27日@梅田クラブクアトロ“SOMETHING SPECIAL Double Release Party”
斉藤和義 Live Report 2016年1月13日@びわ湖ホール KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016 “風の果てまで”