こんにちは。新緑がまぶしい季節になりましたね。そして、いよいよ「令和」の時代がはじまりました。私は、「平成」最後の日、4月30日と、「令和」最初の日、5月1日には、大阪での斉藤和義さんの弾き語りツアーに参加していました。偶然にも元号またぎとなったのですが、ツアーの日程が決まったころにはこんなタイミングで元号が変わるなんて、誰も思いもせず。だけど、うっかりさんの私でもこの日のライブのことはきっとずっと忘れないと思います。今回も手作り感満載で「やることがいっぱいあるから、皆さんにかまっていられない」と笑う和義さんの弾き語りツアーは、お誕生日6月22日の沖縄公演まで続きます。もっと多くの人に聴いてほしい。弾き語りという概念を取っ払ってくれる、驚きとワクワクする瞬間を一人でも多くの人に体感してほしいと思っています。

 
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さて、先日(4月26日)、大阪・心斎橋Music Club JANUSで行われた、石崎ひゅーいくんのバンドワンマンTOUR 2019「ゴールデンエイジ」を観てきました。声のトーン、言葉の選び方や描かれる世界がとても好きで。どこかミステリアスで、でも、言葉を大事に扱う人というイメージを持って臨んだライブ。


大歓声のなか、「あなたはどこにいるの」で登場したひゅーいくんは、フロアを見渡してニコニコしながら歌い出し、「第三惑星交響曲」ではステージを右に左に行き来して、弾みながら、石崎ひゅーいの世界へと誘っていく。オープニングから熱いステージ!フロアの熱狂に応えるように、ぐいっとファンの方に身を乗り出して歌ったり、「SEXY」では、「返事は?」と煽り、「YES!」とファンに要求したり、どSな一面を見せる。そして、「歌は、僕が発すると、僕から離れていく感じがするので、みんなが抱きしめてあげてください」とファンの心をふわりとときめかせ、表情豊かにファンを魅了していく。彼の話す言葉から、不器用だけど、まっすぐな人柄がこぼれてくるようだ。笑っているのに、泣いているように見える瞬間があってどきっとした。きっとそういうところも含めて、彼の音楽は、聴く人の胸の奥に届き、心を震わせるのだろう。


アコースティックギター一本で聴かせてくれた「花瓶の花」。ひゅーいくんの儚げで優しい声、爪弾く音色に、耳を澄ませ、心を寄せる。想いを込めた言葉一つひとつが、とても美しくて、ひとつ残らず抱きしめたくなるような愛おしい時間。春の、別れを歌う「ピリオド」でも、涙をぬぐうファンの姿が多く見られた。情景が浮かんでくる詩。ひゅーいくんは、言葉の持つチカラを信じているのかもしれない。優しくて、実はとても骨っぽい人なのかもしれないと想像させてくれる。彼の歌に漂う儚さ、切なさは、フロアのエネルギーを味方にして、力強くて、とてつもなくあたたかい、きらめきを放っている。

 

 
6月にはアコースティックライブツアーが始まるというお知らせにフロアは沸き、また、6月公開予定の『劇場版 誰ガ為の アルケミスト』の主題歌「Namida」の披露で華やかなムードに包まれた。菅田将暉くんに提供した「さよならエレジー」では、バンドメンバーと楽しそうにギターを
かき鳴らし、ラストの「僕らの楽園」では「おいで」とファンを手招きし煽る姿は、これぞ石崎ひゅーい(笑)。最前列のファンの手につかまりながら、フロアに降臨。コール&レスポンスの大盛り上がりでライブは終了した。終始、ひゅーいくんのペース。もっともっと彼の視線の先を追いかけてみたいと思った。


今回、大好きな曲「ガールフレンド」が聴けた。帰り道、ずっと頭の中を回り続けていたフレーズ。


〈そうさそうさこの星は愛に溢れていて それを知って見失ってまた探して 明日を待ち焦がれる〉


伸ばした手の先に、子犬のようなくしゃくしゃになった笑顔を見たとき、明日を待ち焦がれるのも悪くはないなと思えたのだ。そして、彼の未来は、きっと幾千もの輝きに満ちているに違いない。

 

 
 
 


 
 
 
プロフィール用写真shino muramoto●京都市在住。雑誌編集・放送局広報を経て、現在はWeb校正をしたり文章を書いたり。「非常に重要で大切なもの、一番欲しかったものが手に入らないということがすごく重要」。先日、美術家の横尾忠則さんが仰っていた言葉を聞いて、とても腑に落ちました。どんなに願っても手を尽くしても手に入らないもの。そこから何を学ぶのでしょうか?人間力が試される気がします。横尾さんの言葉は、とても深くていつも心惹かれるのです。