始まりましたGAL Radio。こちらは音楽の魅力についてお話する場所です。
最近Clubhouseという声のSNSが日本でも爆発的に注目を集めていますね。この連載のタイトルにもあるようにラジオ好きな僕は、直接会って気軽に会話や雑談が出来ない今、音声だけという繋がりに新しい可能性を感じられるアプリかなぁと少しワクワクしています。みんなで探りながら敬意を忘れず、想像力を持って楽しめたらと思います。(何の表明よ)お気軽にフォローして下さい!

 
 
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先日、写真家・薮田修身さんによる、Mr.Childrenの写真で構成された展覧会を観に渋谷・PARCO MUSEUM TOKYOに行ってきました。想像力を掻き立てる不思議な空間で感じたことをお伝えします。


▼薮田修身
https://www.osamiyabuta.com

 
 
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BLACK BOX -unpainted face of Mr.Children-

 
 
 

薮田さんは長年Mr.Childrenのツアーやレコーディングに帯同。2015年開催「薮田修身写真展 BLACK BOX -unpainted face of Mr.Children-」は2004年からの11年分でしたが、今回は最新作『SOUNDTRACKS』のレコーディング風景のみで構成(レコーディングスタジオマニアとしては貴重な音楽機材も見れる嬉しい企画!)薄暗い会場内は壁に大きく映し出される1000枚以上、4時間超のインスタレーションをメインに、それぞれが持参したiPhoneなどのデバイスとイヤホンで、アルバム1枚+アンコール2〜3曲分音楽を聴きながらその世界に没入させる演出が施されていました(静寂を楽しむのもOK)。


無声映画のごとく追体験アルバムの核となる曲のひとつ『Documentary film』から薮田さんがインスピレーションを受けたという趣旨が示す通り、彼らが音楽を作り上げていく「日常」と新しい音に出会う「感動」の日々が淡々とめくられていきます。スクリーンの両脇に設置された小さなブラウン管にはロンドンやLAの街並みも映され、レコーディング自体はスタジオでの作業でも、その国や街の景色、気候、環境もどこかで音に作用したことを教えてくれます。デジタルに比べやり直しに時間がかかるアナログレコーディングの緊張感、ミュージシャンとしての真剣な表情から、素に近いリラックスした表情まで(JENさんの顔芸はもはや芸術レベル)特にRAKスタジオの淡く色彩豊かな照明が幻想的な雰囲気に惹き込みます。


アルバム中盤あたりから自分の日常もぼんやり思い浮かべていました。
Mr.Childrenは一貫して「聴き手が主役」になれる言葉を紡ぎ、音を鳴らすバンドで、そのコンセプトは「リスナーの人生のサウンドトラックであって欲しい」新作のタイトルにも顕著に現れています。しかしそれは裏を返せば「あなたに喜んで欲しい自分達のために鳴らす」ということでもあり、この理由こそ、リスナーとの信頼関係と支持を得ているのではないでしょうか。


プレゼントを受け取る時、嬉しい気持ちになるのは相手が自分を喜ばせる為に考えてくれた「時間」があるからだと思うんです。この展覧会は自分達に届けられた音楽という贈り物を想像していた彼らの時間と、喜んで欲しい気持ちに触れられる体験で、居合わせた人それぞれのパーソナルな部分に届く時間なんだと受け取りました。一体感とも違うムズムズを共有するムード、この感覚は何だろうと思いつつ会場を出ます。

 
 
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薮田修身写真集『THERE WILL BE NO MIRACLES HERE』

 
 

アートは心を耕す
会場の外で薮田さんから直接お話をお伺い出来ました。「アートは観る人の数だけ答えがあるから今回は敢えて写真は選ばず、それぞれの解釈で想像してもらいたかった」。その言葉から、個人、社会に間接的に影響を与えてくれるアートの役割を強く実感しました。時間の都合上全てを見ることが難しいからこそ、立ち会ったタイミングで映し出される瞬間を想像力で繋げていく行為は心が耕されるようでした。


文化を表す英語「culture」の語源には「耕す」という意味もあります。日常には必然と偶然の産物が散りばめられていて、それに気付き、楽しむ個人の気持ちの動きが文化に繋がるのでは。ムズムズの正体、皆さんが心を耕している音だったのかな。


別れ際に薮田さんが「こんな状況の中、来てくれてありがとう。気をつけて帰って下さいね」と声をかけて下さった。音楽がそうであるように、写真も撮る人の心を投影するとしたら、優しいお人柄がファインダー越しに被写体へ伝わり、同時に彼らもそうであることを映す。持ち帰った写真集のページをめくる度、そんな共鳴が聴こえる気がします。


▼イベント概要
名古屋、東京は終了。大阪は心斎橋PARCOにて2月11日(木・祝)〜2月28日(日)まで開催。


▼第31回「Mr.Children NEW ALBUM『SOUNDTRACKS』レビュー ~人との出会いと音楽の化学反応~」

 
 
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今回用プロフィール
高橋圭(たかはし けい)●作詞・作編曲・演奏家 1988年5月3日生まれ。2011年よりgood sleepsの作曲、ギターとして活動開始。2枚のシングル、1枚アルバムをリリース。2016年活動休止。演奏から録音、ミックス・マスタリングまでを自身で手掛けた意欲作。アルバム『RADIO WAVES』、シングル『ひまわり』共にApple Music、Spotifyなどで配信中。
お仕事依頼はTwitterからお待ちしております。Twitter:@zazamino

イラスト:matsun
 
 
 
 
 

 
「Ginger Ale Lover’s Radio」ここまでの道のり
 
第1回「はじめましてのご挨拶(自己紹介)」
第2回「Guitar~ダサい僕が手にした最高の相棒~なんでこんな邦題足したの? っていうB級洋画の和訳タイトルみたいなダサさ(ギター愛を語る回)」
第3回「真夏の特大号 想像力(YUKI『チャイム』レビュー、久しぶりのライブ、真夏のドライブプレイリスト)」
第4回「バンドは生き物、刺身はナマモノ。(赤い公園特集)」
第5回「Mr.Children(メジャーセブンス、センス、スタンスとバランス)」
第6回「Mr.Children 『重力と呼吸』アルバムレビュー」
第7回「ミスチル、YUKIライブレポート特集」
第8回「新春新曲祭」
第9回「レコーディングオタク」
第10回「YUKI 『forme』アルバムレビュー」
第11回「音楽で逢いましょう」
第12回「good sleeps Album『SIGNAL』セルフライナーノーツ」
第13回「雨ソング特集」
第14回「Live DVD &Blu-ray『Mr.Children 『Tour 2018-19 重力と呼吸』ディスクレビュー」
第15回「BUMP OF CHICKEN NEW ALBUM『aurora arc』アルバムレビュー。何故彼らは宇宙を歌うのか」
第16回「竹内まりや「カムフラージュ」から学ぶ切なさ講座」
第17回「新曲発表のコーナー『ねぇ、できちゃった』完結編!」
第18回「YUKI『聞き間違い』から学ぶ “ きっと大丈夫 ” 講座」
第19回「何故私たちはクリスマスソングを作り、聴くのか」
第20回「TRICERATOPSから学ぶリフで踊ろう! 講座」
第21回「3ヶ月連続企画! 第1弾 Chara +YUKI『楽しい蹴伸び』から学ぶ無意識の美しさ」
第22回「3ヶ月連続企画! 第2弾「Chara +YUKI 『echo』全曲レビュ ー」
第23回マイフェイバリットエモーショナルソング 10選」
第24回「和田唱(TRICERATOPS)『ALBUM.』から学ぶ笑顔の大切さ講座」
第25回「『ねぇ、できちゃった』のコーナー夏の特別編! 新曲「ひまわり」セルフライナーノーツ」
第26回「ニッポンの偉大なギター名盤10選」
第27回「夏とシティポップ」
第28回「初秋にこそ聴いて欲しい、サザンオールスターズ『真夏の果実』の魅力」
第29回「温かみ、手触りを感じる名作 Yuzukana 『ZUSHIKI』制作秘話!」
第30回「Mr.Children『Brand new planet』レビュー」
第31回「Mr.Children NEW ALBUM『SOUNDTRACKS』レビュー 〜人との出会いと音楽の化学反応〜」
第32回「TRICERATOPS トリビュート盤レビュー&ライブレポート!」