趣味:高級マンションのふもとをお散歩して セレブ気分を味わうこと。

趣味:高級マンションのふもとをお散歩して
セレブ気分を味わうこと。


 
 
1年間、お付き合いいただきありがとうございました。「青春カウントダウン」は今回が最終回。
2003年までさかのぼり、私にとってその年を象徴するようなCDを1枚、その周辺のカルチャーや思い出とともにイラストにしてきました。
毎回の連載で1年ずつ紹介してきたので、中学1年生だった2003年から始まり、ライブに行くようになった高校時代、大学受験を経て上京した頃、夢だった文章とイラストの仕事に足を踏み入れた20代前半、そして結婚して子どもが生まれた2015年まで……タイムマシンに乗るように、1年間の連載で一気に駆け抜けました。
昔よく聴いていた音楽を久しぶりに聴くと、その頃のふとしたできごとや頭につきまとっていた悩み、空気や匂いまでよみがえります。その感覚を、1枚のごちゃごちゃした絵の中につめこんできたつもり。
同世代の人には追体験を、年上の世代には聴き方のギャップを、楽しんでいただけていたらいいな。
そして年下の世代には、まだ聴いていない曲があったら、今の自分の生活や好きなものと重ねあわせながら、聴いてみるきっかけになると嬉しいです。
こうしてみると、2003年から2015年は、私の人生の中でもっとも濃い13年間、“好き”なものに貪欲に触れてきた13年間だったのだなと思います。
まぁ、その前の13年間は、生まれた1990年から2002年だから、自分からカルチャーに接するような歳でもないんだけど……。
2016年からの13年間は、どんな13年間になるんだろう。
13年後、中学生になった息子に、新しいベスト13を聴かせてあげたい。
 
「子どもが生まれて、何か変わった?」
そう聞かれることがよくあります。
そういうとき、私は首をかしげてしまいます。
確かに出てくるのは、
「好きなものは、変わってない。」
という言葉だけ。
マイナーチェンジはあるけれど、かわいいと思うもの、身につけたいファッション、会いたい人、聴きたい音楽、そういうものは、過去形にはならない。
変わったのは、優先順位が息子第一になったこと、360度常に注意を払いながら歩くこと、授乳しやすい服しか着られないこと、服やメイクや髪がすぐ崩れてしまうこと、上半身の血行がいつもわるいこと……。
あとは、人が喜んでもらいたいという気持ちが強くなったけど、意外と自分が楽しんでつくったもののほうが人にも喜ばれるとわかったこと。
息子をいちばん守らないといけない、書いたものが世の中の誰かに届かなければ意味がない――それが当たり前だと身体に染みついたからこそ、自分中心に動くほうがバランスがとれることもあるのかも。
 
 
次回からは、新しい連載が始まります。
「青春カウントダウン」では自分のことを綴ってきましたが、次の連載では、誰かに憑依してその人の人生を書く、ゴーストライターならぬ“エンジェルライター”としての執筆を、久しぶりにしてみます。
それでは、新しい春に向けて、
Bon voyage!
 
yumeco0201
 
 


 
ranprofile大石蘭●1990年生まれ。東京大学教養学部卒、東京大学大学院修了。雑誌やWebなどで、同世代女子の思想を表現するイラストやエッセイを執筆。著書に、自身の東大受験を描いたコミックエッセイ『妄想娘、東大をめざす』(幻冬舎)、共著に『女子校育ちはなおらない』(KADOKAWAメディアファクトリー)。近刊は、小澤しぇいんスタイルブック『おざわんだーらんど』(祥伝社)に、描きおろしマンガを寄稿。(photo=加藤アラタ)
 
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