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どうも、今年もまた暗闇の中からこんにちは。
 
2015年も、面白い映画がたくさんありました。ということで、去年に引き続き、その中でも特に強く印象に残っている映画、というか今回は「夢子クルー」のみなさまに、是非オススメしたい映画を10本、ピックアップしてご紹介したいと思います。公開順にバーッといきますね。
 
 
■『はじまりのうた』(監督:ジョン・カーニー)


 
『ONCE ダブリンの街角で』で知られる監督が、ニューヨークの街を舞台に描き出す、愛に溢れた素晴らしき音楽映画。落ちぶれたプロデューサー(マーク・ラファロ)と無名のシンガー(キーラ・ナイトレイ)が、それぞれの再起をかけて生み出す「音楽」とは? この多幸感はホントやばいよ。そして、キーラ・ナイトレイのキュートな歌声も! 文句無しの傑作です!
 
 

 
 
■『海街diary』(監督:是枝裕和)


原作大好きなもので、一体どうなることやらと思っていましたが、そこは流石に是枝さん。季節と情感に溢れた、とても繊細で美しい映画に仕上がっていました。物語を凝縮したせいか、頻繁に登場する葬式のシーンをはじめ、やや「死」の匂いが強い気もしましたが、広瀬すずのフレッシュな魅力が、それを補って余りある「生命力」の輝きと爽やかな余韻を残します。
 
 
■『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(監督:ジョージ・ミラー)


あの「マッドマックス」が、こんな形で現代によみがえるなんて、本当にビックリしました。「北斗の拳」に多大な影響を与えた、あの世界観はそのままに、しかし、そこに生きる人々の描写と、全体の構造が射程する問題意識が恐ろしく細やかです。これは断じてB級映画などではない。そして何よりも、シャーリーズ・セロン演じる「フュリオサ」の圧倒的なカッコ良さ!
 
 
■『ピッチ・パーフェクト』(監督:ジェイソン・ムーア)


「2」の公開に合わせて、本国よりも約3年遅れで公開された本作。落ちこぼれ女子が集まる「アカペラ部」の奮闘を描いた、笑いあり涙ありの学園コメディ映画。これが最高に面白かった! 結構下品だけど(苦笑)。音楽映画としても楽しいです。その勢いで観た「2」は、個人的にはイマイチでしたが、主演のアナ・ケンドリックのコメディエンヌぶりは、やはり最高。
 
 

 
 
■『彼女は秘密の女ともだち』(監督:フランソワ・オゾン)


親友の死、そして残された親友の旦那との新しい関係性……というか、その「彼」は女性に憧れを抱く「異性装者」だった。という、実にオゾンらしいセクシュアリティの撹乱を内包したスリリングな物語。「彼」との関係を通じて、どんどん綺麗になってゆく主人公を演じる、アナイス・ドゥムースティエが見事だった。それにしても、「男らしさ/女らしさ」って何だろうね?
 
 
■『心が叫びたがってるんだ。』(監督:長井龍雪)


「あの花」のスタッフが再集結というのはともかく、「なんか、すごいタイトルだなあ」と思って観てみたら、ややや、これは思いのほかハードコアな話でした(汗)。音楽活動をきっかけに、互いの「実存」をぶつけ合うようになる若者たちの有り様が、とにかく壮絶。よくわかんないけど、いっぱい感極まった。主人公が逆ギレて、イケメンを罵倒するシーンが大好きです。
 
 
■『岸辺の旅』(監督:黒沢清)


「俺、死んだみたい」……ある日突然現れた行方不明の夫(浅野忠信)と、なぜか一緒に旅をすることになった妻(深津絵里)。黒沢清の新作は、「彼岸/此岸」の境界を曖昧にする、ミステリアスなラブ・ストーリー。緻密な画面設計を特徴とする、とてもスタティックな作品でありながら、その印象はとにかくエモーショナル。深津絵里の繊細な演技が素晴らしかった。
 
 

 
 
■『マイ・インターン』(監督:ナンシー・マイヤーズ)


アン・ハサウェイとデ・ニーロが共演したハートフル・ドラマ。この映画、相当脚本が練り込まれているように感じました。いわゆるステレオタイプを排しながら「いま」のリアリティを描き出してゆく周到なプロット。「恋愛」より、もっと広い意味で、人と人との関係性に思いをめぐらせてしまうような見事な物語。本作が日本でもヒットしたのは素晴らしいことだと思います。
 
 
■『リトル・プリンス 星の王子さまと私』(監督:マーク・オズボーン)


この映画、意外と面白かったです。ベースとなるのは、ご存知「星の王子さま」。人形アニメのパートで、その内容をかなりきっちりトレースしながらも、「私」=「少女」を主人公とした本作のメインとなるCGアニメのパートで展開されるのは、「その後の王子さま」の物語。諸々の情報規制で書けなかったけど、すっかりダメ人間に育ってしまった「王子」に驚愕です!
 
 
■『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(監督:J・J・エイブラムス)


2015-12-18 16.30.57現在、何を置いても観るべきなのは、やはりこの映画なのだと思います。「過去作を観てないから……」とか躊躇している場合じゃありません。何やらうるさいおっさん連中(俺?)も、この際無視しましょう。これは、本作から始まるまったく新しい物語なのです。新シリーズの主人公=レイを演じるのは、無名の新人、デイジー・リドリー、23歳。いまだ何者でもない彼女が、今後のシリーズを通じて、果たしてどう成長していくのか、本当に楽しみでしょうがないです。これは「彼女の物語」であると同時に、「あなたの物語」となる可能性を秘めた作品なのだと思います。相言葉は、「フレッシュ!」。コロコロ走る新ドロイド、BB-8も可愛いぞ!
 
 

 
 
ということで10本。察しの良い方は、すでにおわかりと思いますが、これらの映画、すべて「女性」が主人公なんですよね。「今の時代、ハードボイルド小説を書くならば、主人公は絶対に女性だ」と語った小説家がかつておりましたが、ハードボイルドに限らず、今の社会を切り取る場合、自ずと「女性」を主人公としたほうが、諸々の「矛盾」も含めて、何かが見えやすい、というのは、ワタクシも思うところしきりです。けれども、ぶっちゃけ何も考えずに、「面白かった映画」を選んでみたら、そのほとんどが女性の物語だった、という事実には、選んだ本人も、ちょっとビックリしてしまいました。まあ、そういう時代なんでしょうね。という意味で、「スター・ウォーズ」の新シリーズが、女性を主人公に据えたというのは、まったくもって当為というか、さすがルーカス=ディズニーといった感じでしょうか。
 
ちなみに、その他の映画で印象に残った「女性」としては、『薄氷の殺人』(監督:ディアオ・イーナン)で男を狂わせる絶妙なファムファタルを演じた台湾の女優グイ・ルンメイ、『アメリカン・ドリーマー 理想の代償』(監督:J・C・チャンダー)で主人公の妻であり、マフィアの大物の娘という役どころを、アルマーニのヴィンテージを見事に着こなしながら演じたジェシカ・チャスティン、『インヒアレント・ヴァイス』(監督:ポール・トーマス・アンダーソン)で主人公を翻弄する元・恋人役をコケティッシュに演じたキャサリン・ウォーターストンなどが挙げられます。いずれも素晴らしい映画、というか、それらの映画を含めたランキングは、リアルサウンド映画部のほうで紹介させていただいておりますので、ご興味ある方は、是非そちらも合わせてご覧くださいませ。やっぱ映画って超面白いわ。
 
 
 


 
26558b0200add0f14325c9dd14320e10LIGHTER/WRITER インタビューとかする人。音楽、映画、文学、その他。基本フットボールの奴隷。