栃木県宇都宮市在住4人組POP PUNKバンド、KiNGONS。
 
ラモーンズを彷彿とさせるヘアスタイルに、目の周りには黒いアイメイクが施されているという強烈なビジュアル。だがその風貌からは想像もつかぬほどPOPかつ輝きに満ちた音楽が弾けだしていた。昨年秋、宇都宮にてKiNGONSのライブを初めて見て以来、瞬く間に魅了された。彼らのステージには今この時に懸ける熱量と、POP PUNKの爆発とも言わんばかりの気迫に溢れ、ただただ圧倒されるしかなかった。
 
そんなKiNGONSは昨年7月、京都磔磔でのワンマンショーを成功させ、4年ぶりとなる2nd Mini Album『PRESENT PARTIDA』(ライブ会場限定音源)をリリース。
 
20160112181643

KiNGONS/2nd Mini Album『PRESENT PARTIDA』(ライブ会場限定音源)

 
この新譜を引っ提げ、7月、彼らの地元 宇都宮から北は北海道、南は九州、沖縄…と半年間に及ぶ約54本の全国ツアー『CAN I RIDE ON YOUR FUCKIN’CAR TONIGHT TOUR』を敢行してきた。そのツアーファイナル・彼らのワンマンショーが、昨年12月5日、高円寺HIGHにて行われた。
 
開演前、暗転しクラシック音楽のBGMが流れ始め、私は緊張感に包まれた。するとステージ上のスクリーンには7月のレコ発から順に、ツアー全日程の文字とツアー中のオフショットが映画のエンドロールのようにスクロールしていく。スクリーンに次々と現れ、流れては消えていく、日付の数字と地名、ライブハウスの名称を眺めていたら、彼らがこの半年という期間に成し遂げてきたことの凄さと、これら一つ一つのライブが積み重なって、ようやくこのツアーファイナルに至ったのだと痛感し、今のKiNGONSの姿をしっかり目に焼き付けなければ!という思いに駆られたのだった。
 
この日のショーは新譜『PRESENT PARTIDA』の1曲目に収録されている、「MONSTER」からスタート。〈あなたの”偉大なもの”になりたい〉という思いが込められたこの曲で、KiNGONSはまさに”MONSTER”のごとく会場全体を飲み込もうとする。〈輝く世界に夢一つ / 煌めく夜空を見上げれば / 流れが聴こえる〉ーそう歌うヴォーカル・ギター高橋直渡の熱量はこの時点で凄まじい。この日のKiNGONSは何かが違う気がした。続いてギター・ヴォーカルkj monmonが歌う「P.O.P」で会場はまるでポップコーンが弾けたような躍動感とオーディエンスの高揚でいっぱいになり、序盤とは思えぬ熱気に包まれた。息もつかせず「shall we dance」へ突入すると、これぞKiNGONSの強みとも言うべき、切なさや寂しさ、恋しさを纏いながらも今をまっすぐに生きる青春の輝きがほとばしる。序盤で一気に畳みかけた会場に温かく沁み渡るのは「綺麗な世界を見落として」。思わず一緒に口ずさんでしまうメロディーだ。一変して、ベースNAKATAが歌う「BABY I LOVE YOU」ではNAKATAによる全力の煽りで、会場は再び沸き上がり、勢いは止まることなく「I DON’T WANNA STOP MY MUSIC」へ。この日も曲終盤にてギターを手放したkj monmonのキレのあるダンスが炸裂し、もうこのまま彼らの音楽は止まることなく、喜びと共にずっと鳴り続けていくだろうと思ってしまう。
 
中盤のMCでは、メンバー一人ずつ、このツアーでの印象的な出来事を発表する時間が設けられ、会場は一瞬にして和やかな雰囲気へと変わった。日本全国を巡るツアーバンドならではのエピソードが飛び出し、中でもドラムHANDAが、今回のツアーで初めて新潟県でのライブを経験し、「これまでも全国各地でライブを重ねていたにも関わらず、まだ足を運んでいない土地もあるのだと実感した…」と、口にしていたのが印象的だった。
 
KiNGONSは2011年から『SET YOU FREE』と呼ばれる、日本全国のライブハウスで開催されるインディーズイベントに参加しており、これをきっかけに年間約150本のライブを行うようになった。時には日本を飛び出し、過去には台湾・アメリカ・ヨーロッパでのライブも成功させている。そんな彼らは前述の昨年7月に行われた、京都磔磔でのワンマンショーを最後に、4年間出演した『SET YOU FREE』を卒業したのだ。よってこのツアーは彼らが『SET YOU FREE』を離れてから、初めて自分たちだけで組んだツアーである。これは挑戦とも言えるだろう。
 
「本当に人と人との繋がりを実感するツアーでした」と高橋も話していたのだが、
 
〈人と人との繋がり〉
 
これが、今回のツアーの鍵を握っていたのではないかと思う。彼らの地元・宇都宮から各地に赴き、その土地のライブハウス、バンドマン、そこに足を運んだ観客…その土地ごとの出会いはかけがえのないものだろうし、本人たちにしかわからない出来事が数多くあったはずだ。そして移動中の車窓から見えるもの、ライブハウスのステージから見えるものも全部ひっくるめて、このツアー中、彼らの目の前に広がっていた様々な景色も、その大切な思い出と共に彼らの脳裏に焼き付いているだろう。
 
私はそんな彼らが歩んだ半年間に想いを馳せつつ、改めてステージを見つめた。するとそこには言葉で表すには難しい、様々な思いが溢れているように思えて仕方がなかった。あの時、ステージに立っていた彼らの目には、最後どんな景色が広がっていたのだろう。
 
そして、「このツアー中、ずっとこの歌を歌ってきました」と高橋が口にし、本編最後を飾ったのが「BYE BYE MY GIRL」。
 
私は思わずハッとした。なぜなら、この曲が要であると同時にツアーを象徴するものだと思ったからだ。
 
私たちは、ある一瞬の出来事で今までの人生が大きく変わってしまうことがある。大切な誰かともう二度と会えなくなってしまうことだってありえる。私たちの“当たり前”はいつ覆されるかなんて誰にもわからないのだ。だから彼らが色んな土地に赴いてライブをする度、もしかしたら会えるのはもうこれで最後かもしれない…という思いをこの曲に託し、ツアーファイナルまで歌い繋げてきたのかもしれない。
 
この日の高橋の歌や表現にはいつにも増して熱い気持ちや魂が籠っているように感じられた。そのハイライトがこの「BYE BYE MY GIRL」であって、高橋は自らのギターを手放し、歌うというより、まるでオーディエンス一人一人に熱い眼差しを向けて語り掛けているようだったのだ。高橋の歌とkj monmonによって奏でられるギターソロの音色が呼応して織りなされる世界は、切なさと温かさに染まり、彼らが毎回”今”という瞬間に懸けて、ここまで繋げてきたものが見事に結実された場面に思えた。
 

 
アンコールでは、2016年夏、KiNGONSにとっては実に4年ぶりとなる、I HATE SMOKE RECORDSを介しての新譜をリリースすることを発表し、本当の始まりはここからなのだという新たな決意と覚悟を感じさせられた。
 
この流れで「俺たちの旅はまだまだ続くーー!」という高橋の言葉に続いた、「Treasure’s」、「POP OF THE WORLD」は圧巻で、ダブルアンコールで披露された「WONDERFUL GIRL」では〈we are KiNGONS! we are KiNGONS!〉というコールが響き渡り、場内のボルテージは最高潮に達してツアーファイナルの幕は閉じた。
 
ショーを観終えた私には、彼らが夢を実現させるための術をしっかり自分たちで手にしているように思えた。そして何よりも、彼らを次なる場所へ誘う新たな扉が開き、眩い光を放っていたのだ。さあ次はどんな場所へ向かうのだろう。KiNGONSのこれからに目が離せない。終わりは新たな始まりなのだから。
 
 
 
 


 
20160113221642青木 リサ●1997年生、栃木県出身18歳高校生。昨年秋、宇都宮にてKiNGONS/ザ50回転ズ/HANS CONDOR/GUITAR WOLF出演のロックイベントを観て以来、見事にロックンロールの洗礼を受け、今なおその余韻の延長線上で生きています。KiNGONSとの出会いをきっかけに訪れた宇都宮のライブハウスで、音楽による〈人と人との繋がり〉を直に体感し、それまで盲点だった地元のライブハウス及び音楽シーンに関心を抱くようになりました。高校卒業後、今年の春から都内専門学校に進学し音楽雑誌編集について一から学びます。いつか地元の音楽シーンに貢献できるよう「“言葉”で音楽の魅力を伝える」という信念を胸に、ロックンロールを中心に見聞を広げ、自分の感性と表現力を磨いていこうと思います。今年は私が敬愛するロックバンドTHE YELLOW MONKEYの復活もあり、昨年以上にロックンロールに染まる1年になりそうです。こちらに投稿させて頂くのはこれで2回目。前回の掲載後ブログを開設し、咲藍という名義で音楽の文章を書いています。Chiffon*Symphony