淡路島に移住して、一番変化したことは、「食事」。
我が家はとにかく毎日三食手作り。
みんな食いしん坊! っていう理由だけでなく、有難いことに『野菜』のおすそ分けを頂きます。
淡路と言えば、玉ねぎ。そして、レタス。
キャベツも白菜も、ほうれん草もブロッコリーもトマトもなんでも近隣で収穫があるのです。
 
 
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淡路島は、いよいよ玉ねぎの収穫時期です!

 
 
必然的に、もったいないことの無いように旬の野菜を活かして調理をしなければなりません。
これは、東京で暮らしていた時と雲泥の差。
義母は見事に野菜を調理していく。食べきれそうにないものは、漬物にしたり、干したり。
料理が大好きです!って言っていた私だけれど、時にはお惣菜を買ってきて済ませたい日もある。
素材をヒントに毎食の献立生み出すパワーがこの暮らしには必要で
そのプレッシャーを感じていたんです。
 
 
 
 
■『一汁一菜でよいという提案』土井義晴著 グラフィック社


 
 
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今回紹介するのは、
土井義晴さんの『一汁一菜でよいという提案』(グラフィック社)です。
これは、朗報です! 本当に。
あの、土井義晴先生が言うんだからこりゃ間違いない。
「ねぇ、土井先生が言うんだから、おかずはないよ」って今日から使えます。
 
「一汁一菜」とは、
ご飯を中心とした汁と菜(おかず)。
その原点を
「ご飯、味噌汁、漬物」とする食事の型
と本書では定義されています。
 
さみしいよーそんなの!と思う方もいるかもしれない。
けれど、みそ汁は具だくさん。例えば、ベーコンや肉類、魚、貝もいれてもいいし、
卵も入れてもいい。野菜はもちろんたっぷり使う。
(この具材選びにセンスがいるんじゃない?っていうつっこみは置いておいて)
調理は、切っていれるだけだからラク。栄養は満点。何より、洗い物がラクなことが
嬉しいではないかと歓喜してしまいませんか?
 
それでも夫や子供は納得しない。という方もいるでしょう。
ならば、家族全員回し読みしてもらうしかない。
誰一人として損はしないことは保証します。
 
下記のように、帯に書いてあります。
 
大切なことは、一日一日、自分自身の心の置き場、
心地よい場所に帰ってくる暮らしのリズムをつくること。
その柱となるのが、一汁一菜という食事のスタイルです。
 
「和食」とは何か?縄文時代から続く日本人の食文化についても
網羅されていて知識量も豊富。男性陣にも納得できる内容です。
 
日本には「ハレ」と「ケ」という概念があり、
「神様のための食事」「人間のための食事」に分けて考え
「ケ」の状態、つまり日常は手間をかけず作る。
この価値観や使い分けの考え方、
「贅と慎ましさのバランス」という章はとても読み応えがあります。
 
この本は、久しぶりに出会った完璧な本。
表紙のデザイン、帯の色(味噌汁の色らしい)、フォント、章立て。
レシピも写真もあるので、多少難しいことがあっても飽きません。
 
食べることは人生そのもの。
食べるために働き、あの人に「おいしい」と言ってもらえることが
何よりも幸せと思っている、私の「今」にぴったりハマりました。
 
35歳を過ぎて、心と身体の健康がなにより大事と痛感しているので
本書と出会えてこれからの「食生活」を見直すきっかけにもなりました。
 
そして、土井先生が一番伝えたいのは
「女のひとよ、楽になれ」ってこと
なのではないかと思うのです。
それが、ビシビシと伝わってきて読んでいてスーッとラクになりました。
 
 
さぁ、あなたも「今夜のおかずどうしよう」から解放されましょう。
 
仕事して、家事もして、育児もして、本当に自分の時間なんてない。
でも、おいしいものを安全に食べたい。食べさせたい。
 
そんなあなたへの「エール」が響きわたる一冊です。
 
 
 
 
 
 


 
uemura上村祐子●1979年東京都品川区生まれ。元書店員。2016年、結婚を機に兵庫県淡路島玉ねぎ畑の真ん中に移住。「やすらぎの郷」と「バチェラー・ジャパン」に夢中。はじめまして、風光る4月より連載を担当させて頂くことになりました。文章を書くのは久々でドキドキしています。淡路島の暮らしにも慣れてきて、何か始めたいと思っていた矢先に上野三樹さんよりお話を頂いて嬉しい限りです。私が、東京で書店員としてキラキラしていた時代、三樹さんに出会いました。お会いしていたのはほぼ夜中だったwと思いますが、今では、朝ドラの感想をツイッターで語り合う仲です。結婚し、中年になりましたがキラキラした書評を青臭い感じで書いていこうと思っています。