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毎週見ていたわけじゃないけど、たまたま見ためちゃイケEDが良い曲だったのでちょいちょい見るようになった。
 
夏の魔物の「東京妄想フォーエバーヤング」。

 
その日は、めちゃイケレギュラーの三ちゃんこと三中元克さんのレギュラー存続をかけた公開漫才がテレビで行われていた。
 
三ちゃんは2010年秋のめちゃイケレギュラー公開オーディションで「唯一の素人」 としてレギュラー入りを獲得して以来、一度見たら記憶に残る風貌だったので覚えていた。後は岡村さんが好き! ということくらいの三ちゃんへの浅い知識だった。
 
三ちゃん自体には興味がなかったけど(ごめんなさい)三ちゃんの「唯一の素人」というおいしい肩書きを捨ててプロの芸人になる! と同級生と「サンプライズ」という漫才コンビを結成し決意をした事と、めちゃイケの皆さんがそこまでおもしろさがなさそうな(テレビで見る限り)三ちゃんを可愛がっている感じに(テレビでは面白さが伝わらない何かがあるのか…?)と、興味をもった。
 
めちゃイケ生放送で三ちゃんが漫才を公開して視聴者の方に「プロの芸人」として めちゃイケ存続を決めてもらおう! という企画。
 
dボタンでその場で判定という。
 
正直、漫才は面白くなかったが、漫才の前の三ちゃんドキュメンタリー映像にグッときてこれを作った愛(お仕事の熱意)に感動してしまった。
 
結局、最後まで三ちゃん自体に面白さを見出せなかったけど、三ちゃんの為にどうにか…と愛が伝わるものが生まれているのだから、きっとそうさせている三ちゃんの「人」が、そうさせたんだろうなと最後にはそんな三ちゃんに少し興味をもち、公開オーディションに自分も参加して「めちゃイケ存続」ボタンを押した。だが結果は「めちゃイケ卒業」だった。
 
かなしいかなしい…と思った反面、安心した自分もいて、正直面白くないのにこのまま三ちゃんがここにいたら、ゆくゆくは近い将来きっとダメになるんじゃないか…と存続ボタンを押したにもかかわらず良かった…とも思えた。
勘違いしたまま大人になるのはとても怖い。そんな「プロの芸人」は甘くない「素人」というブランドを捨てちゃったんだから…。
 
その時、何かわからないけどテレビの前ですごい泣いてしまって7年前ぐらいの自分がフラッシュバックしてきた…! 7年前(およそ)、テレビ東京の「音楽ば~か」にレギュラーで出演していた時私も 「唯一の素人」枠的な感じで出演していて(番組で争いメジャーデビューを勝ち取る趣旨の番組! 以前の連載「きらめきファンファーレ」でも少し書いたかも…)
 
当時の、レギュラー陣は秋元康さんに歌詞を提供されていた人や、元AV女優(結城 リナ)、グラビアアイドル…等。
 
私は、事務所には入っていたものの、全然ほぼ業界のことも知らない活動も数ヶ月、ひょんなことからの決まったテレビ出演だったのでほぼ無知でとにかくテンパっていた。
 
ただ、なめられてはならぬな精神! で、ここからは入ってこないで! と壁を作り人との距離を保っていたと思う。つんけんはしていない、かなり愛想は良かった(はずw)
 
この番組は台本等なかったので、完全にフリースタイル。まさに事件は現場で起きている! カメラはほとんど回りっぱなし! 感じたことがないストレスで毎日吐きそうだった! 当時のディレクターの一人は「進め! 電波少年」に携わっていた方だったりして完全にサバイバル現場。
レギュラーの皆は、研ぎ澄まされた話術で面白いことを連発したり間の取り方もナチュラルに出来ていて、すごい…と関心しかなかった。
この瞬間を逃したら後がないという危機感を皆体感しているから爪痕を残そうとして必死。
(音楽ば~かという番組は、毎回歌の評価があり脱落者が出て、脱落者はそのままレギュラー敗退となる)
※詳しくはwikiとか見た方が早いかも…。
 
私は、自分なんて全然ダメだ…と毎日思ってた。バラエティ番組を勉強せねば…とかなんか何からしていいかわからなくて混乱していた。ただ声に出したら負けだ…と虚勢を張っていたけど限界がきたのかディレクターに 「全然面白いこと言えないです…」と言ったら「歌手なんだから別に良いでしょ」 と言われてすごく気分が楽になった。あっ頑張るところそこじゃなかったのか…と。
素人が面白いことを言おうとすることって一番つまらん。
自分にできることをしようと思った。
 
ある日、プロデューサーの方にロケ終わり富士そばに連れって行ってもらった。 若槻千夏さんが好きな私は、当時若槻さんが富士そばに通い詰めてたので(アメブロ愛読していた)何が食べたい? の質問に秒殺で「富士そば」と答えた。
そこで、カツ丼セットを頼んだんだけどお腹いっぱいになり残したことをさらっと怒られた。
その時に、あっ自分の許容範囲くらい知らないと…最低限与えられた事は精一杯やろうと決めた。
 
路上ライブと並行して番組に出演していたので、路上のニコニコしているわたしとテレビのわたしとのキャラ(ギャップ)がすごすぎて「ゆうちゃんってあんなんだったけ」と言われまくってストレスで超痩せた(笑)。
 
超強気で生意気な部分が全面に出ていて、編集ってすごい! と思った(笑)。 テレビから私を知った方は、「全然違いすぎてびっくりです。(良い意味で)印象が変わりました…!」「こんなにニコニコしているんですね」と言われ戸惑ったこともあった(笑)。
 
私が悩んでた分、きっと番組スタッフもどういうキャラで打ち出そうと必死だったと思う。(素人すぎて)
 
秋元康作詞曲でメジャーデビュー! という企画最後の対決の日。
残り3人! 二人組ユニットでのデビュー!というのは決定していたので、脱落者は一人。
 
Winkの「淋しい熱帯夜」を各2人ペアで歌い収録見学に来ているお客さんに良かったペアを投票してもらうシステム。
 
私は、前回からの獲得ポイントがありシード権的なものをもらっていた。心の中で、メジャーデビュー出来るかも…! とその先を考えて正直若干ワクワクしていた。
 
番組を観ている方も、他の二人も、「ゆうちゃんはおそらく決定だろう!」と、そんな空気の中…。
 
わたしが脱落した。
 
とにかく味わったことのない屈辱感と疲労、数ヶ月のプレッシャーで頭が真っ白になり、その場で声を荒げてわんわん泣いた。きっとそんな泣いたのは生まれて初めて…。一人の時にもそんなに泣いたことはない。
 
その間も、勿論カメラは回りっぱなし。
 
やばかったらしい(半分くらい覚えていない)。番組スタッフさん達が、この子このまま帰り道死ぬんじゃないか…と心配してくださり、ディレクターの坂本さん(女性)がタクシーでお家まで送ってくれた。異例の事態(笑)。
放心状態のわたしは収録スタジオから楽屋まで戻った記憶がない…(笑)。数時間経ってもう夜も深くなりかけた頃ようやく落ち着いて帰ろうと楽屋を出たら、番組スタッフ皆さんがエレベーターまで花道を作ってくれて拍手してくれた。皆疲れているのに。
 
カメラは回っていなかった。
 
ああもう今日で終わりなんだ…皆と会えないんだかなしいかなしいとまた泣きながらありがとうございましたと最後の力を振り絞って伝えた。
 
エレベーターに乗った瞬間「また一緒にお仕事しましょう」と言ってくれて、エレベーター閉まるまで皆深々とお礼をして下さった。
 
あの光景はずっと忘れない。
鮮明に残っている記憶。
 
後から聞いた話で、当時のディレクター曰く、あの泣き喚いた姿は「テレビ至上3本の指に入る良いものが撮れた瞬間」だったと言われた。
 
最後の最後に素人だからこそのミラクルを起こした(笑)。素人だから自然にみせられたドラマ。
 
トラウマだったあの日の出来事も数年経ってから、「あっわたしあの時選ばれてなくてほんとうに良かった」と心から思った。 きっと今、何もないはずなのに少しばかりの過去の栄光をいつまでも引きずってずるずる調子に乗っていたと思う。
 
あのエレベーターまでの花道と、「また一緒にお仕事しましょう」という言葉が「テレ東にもう一度戻って来たい!」という気持ちが「上京」を決意させたから。
 
8年経ったけど、何にもなかった自分が何とか東京で音楽に携わるお仕事が出来ているのは、あの時天王洲のスタジオでわけわかんないくらい泣き喚いたおかげだ。
 
なので、三ちゃんは卒業して良かったと思う。 めちゃイケスタッフは愛があるなと思った。
なので、20年も続くんだな、と。
 
けどやっぱり「唯一の素人」というおいしい肩書きを自ら取った三ちゃんはもったいないな…と思った。
 
アイドルも最近はアイドルという肩書きを外してリセットしてしまう傾向があるけれど、その子自体は同じなのであまり見た目での変化はなくハードルだけがあがってしまい勿体ないなと思う。
芽生えてきた「自我」っていうのは白黒はっきりつけてしまう。
自分もそうだったからめちゃくちゃその気持ちはわかる。
 
ちょい話題だった狩野英孝スキャンダルの加藤沙里さんが「何故SNSに投稿したのか?」の質問に対して「だって素人だもん」と言っていた。
 
「事務所に所属しているんだから素人じゃない!」と突っ込まれていて、 「素人というブランド」の効力はやはりすごいなと思った。
 
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image1 (2)栗原ゆう/クリハラユウ●たまに踊るシンガーソングライター/作詞作曲、イベント企画「WONDER WORLD」楽曲提供(栗山夢衣、PPP!PiXiON、mikitmarket)アイドル誌ライター、衣装、全てセルフプロデュース。テレビ東京「音楽ば~か」レギュラー出演を経て上京後は多岐に渡り色んな肩書きを持ち精力的な活動を行っている。世界のファッション通注目スポット、サウスポーbyNPC(高円寺キタコレビル)で STAFFも勤める。
公式HP▪️http://kuriharayou.info/