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無料ワンマンライブ「wonder」当日の渋谷eggman


「楽しみにしていたライブが前日になって無観客の生配信ライブになった。」 


うんうん、あるある。という声があちらこちらから聴こえてきます(笑)。 
今年に入って多くの音楽ファンやライブ好きが経験したことだと思います。
 


ここYUMECO RECORDS様にてコラムを不定期連載中の北海道中標津出身女性シンガーソングライターのエナさんといくつもの偶然が重なり出会ったのは3年と少し前でした。 


大好きで尊敬してやまないエナさんが昨年の秋に一世一代、最初で最後との覚悟を持って実施されたクラウドファンディング。 目的は「無料ワンマンライブ『wonder』開催・ライブPVとして撮影・その映像を携えて音楽事務所とレーベル所属との契約への挑戦」でした。 


クラファンページのトップを飾るのは3年前の「3周年ワンマンライブ」の写真です。 
普段は対バンライブが主な活動の場であるエナさんですが、あれから何度もワンマンライブはありました。 
それなのにいまだに3周年ワンマンの写真が使われるのはやはりあのワンマンがエナさんが想い描いたカタチを一番具現化できたライブだったのではないかと想像します。 


私がエナさんのファンになったのはその3周年ワンマンの直後でした。 
エナさんのライブに通い何度もワンマンにも行きましたが3周年ワンマンを観られなかった引け目がずっとありました。 
なのでこの特別なワンマンライブ『wonder』はクラファンの目的というだけでなくエナさんの音楽活動の集大成のライブを観られるということで私としても悲願のライブだったのです。

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7本ライブでの物販
 

今年の3月4日の水曜日に開催される予定だった無料ワンマンライブ『wonder』にたくさんの人に来てほしい観てほしい、そんな想いで1月から2月にかけて普段よりも多い7本の対バンライブに出演し多くのお客さんに自身の存在をアピールしました。 
ライブの宣伝が苦手なエナさんが、今までに見たことがないほどに積極的にワンマンライブの告知を丁寧に話され、フライヤーをフロアのお客さんに配る姿を見てとても感動しました。
ふだん集客にガツガツしない方が本気になった瞬間に立ち会えたのです、ファンとしてこんなに嬉しいことはありません。 
私もファンの端くれながらその7本の対バンライブに通い、急きょ決まったラジオへのゲスト出演を観覧しに行き、微力ながらSNSでの宣伝をさせていただきました。


熱い想いが乗った7本のライブはそれはもう素晴らしく大盛況に終わり、コロナ禍が吹き荒れるワンマン4日前に「ワンマン開催の決意と対策」の強い想いをブログに発表されました。 
周りではライブの中止や延期、出演者のキャンセルなどが目立ちだした頃だったので、エナさんの開催の意志を読みファンは胸をなでおろしたのです。


そんな期待が高まる中、前日の夕方に大切なお知らせがありました。 
政府による自粛要請、会場である渋谷eggmanの自粛発表でエナさんは苦渋の決断を余儀なくされたのです。


「ライブは延期、当日は無観客での生配信ライブを決行する」との発表でした。 


晴れ舞台をエナさんが大好きなお花で華やかに飾りたい。 
そんな想いでファン仲間と合同でスタンド花を贈る手配をしていたので急いで花屋さんに連絡しスタンド花をキャンセルしてすでに入荷済みだったお花を使って花束を作っていただき、仲間のメッセージを寄せた手紙とともに会場に持ち込むことにしました。 
平日の夜ということで就業時間を気にせずに楽しむために有給休暇を使い、クラファンのリターンの一つである「リハーサル見学」の時間までのんびり自宅で過ごすはずだった私は急きょ昼過ぎに花屋さんに行き花束を受け取り渋谷の街を何とも言えない気持ちで会場へ向かいました。


受付にいたライブハウスのスタッフさんに花束と手紙を託し、かすかに音漏れしてくる厚くて重いあの黒い扉を背に階段を上る足取りは全く疲れていないのにも関わらず何か重さを感じるものでした。 
本当ならあと少しでリハーサル見学を観にその扉を通って入場するはずだったのに。 


ファンになってほとんどのライブを会場で観てきてエナさんのライブが大好きであることと、エナさん自身初の「生配信ライブ」でもあったので、複雑な感情はとりあえず脇に置いて開演時間が近づくにつれてドキドキワクワクが増していきました。 
ライブPV撮影チームによる高精細で美麗な映像は素晴らしく、観客のいない自由なカメラアングルは最前列からの視線にも近いものがあり、かつてない豪華な編成とともに来場予定だったファンのみならず遠方や海を超えた海外でも視聴され大興奮と絶賛の嵐が吹き荒れました。
終わってからも感情の高ぶりは収まらず、朝まで寝付けないのはエナさんのライブを観た夜のいつものことです。

 

少し気持ちが落ち着いてきたころに心の片隅にあるモヤッとした想いをひも解いてみることに。 
本来であればそこに居て目の前で歌うエナさんと豪華なサポードバンドというエナさん史上最高のライブを観るはずでした。 
配信はとても素晴らしかった、でも自宅のPCのモニター越しで観るはずではなかった、会場で観たかった。
絶賛の声が鳴り止まないなか「違う、エナさんはこんなもんじゃない! 観客に呼応してボルテージが高まった時のエナさんはもっともっと凄いんだ!」と心が叫びました。 


普段のライブの映像を公開することがほとんどないエナさんの最新のライブ映像が世に出ることは、ファンとして嬉しいだけにとどまらず「私の音楽をもっとたくさんの人に聴いてほしい」というエナさんの想いをも後押しします。
それは私も同じ想いです。 
私が出会った最高のアーティスト・シンガーソングライターをもっともっとたくさんの人に知ってほしい、この幸せを分かち合いたい。 
なのでその場で観られなかった違和感とこのライブ映像が持つ大きな意味のそれぞれが頭の中をごちゃまぜにしてしばらくこの映像を観返すことができませんでした。 


あれから1か月、いまだに延期となったライブの日程は発表されていません。 
コロナの終息が全く見えない今、それは無理のないことです。 
夏か秋、いや冬になるか、さらに年が明けてからか。 


待たされれば待たされるほどそのライブを観た時の喜びは高まり爆発するのだと思います。 
それまで今の難しく厳しい状況を耐え抜き、晴れてマスク無しでライブを目いっぱい観られることを楽しみにしてます。 
この素晴らしい映像の公開をお祝いするとともに、延期となった無料ワンマンライブ開催を決めてくれたエナさんに、そしてこのような場を与えてくださったYUMECO RECORDS上野三樹様に感謝しこの文を締めくくります。 
読んでいただきましてありがとうございました。

 
 
 


 
待つぼっくり●東京在住。王将の餃子と炒飯をこよなく愛す関西人。人生を半分過ぎて最高のアーティスト・エナさんと出会いライブに通う。もしプロレスラーに生まれ変わったら入場曲はエナさんの「片目に涙」。 
Instagram: @_mtbkr_