「年末進行」という言葉が昔から少しだけ好きでした。基本的に忙しければ忙しいほど嬉しくなる(もちろん家でだらりと過ごすのも好きですか)性格をしているので、やることが多くなってくる年末が、お正月とクリスマスが一気にやってくる浮ついた雰囲気と相まって、なんとなく楽しくて。仕事をしながら年を越す、という昔からの夢も今年は叶いそうで、振り返ってみれば、様々な人の力を借りながら、沢山の夢を叶えてもらった1年だったのだな、と思います。
 
年内の連載はこれが最後ということで、皆さま、今年1年は良い音楽に恵まれましたでしょうか。私は自分の1番好きなジャンルが“邦楽ロック”ということもあり、やはり日本のロックバンドの動きに目が行きがちなのですが、個人的には配信サービスも活用しつつ、自分たちに合った活動の方法をしっかりと模索して、着実に進んでいってるバンドの音楽に沢山触れられたことが非常に嬉しい収穫でした。その中で頭角を現していくバンドもあれば、活動の方向をがらりと変えていったバンドもいて。正解がないからこそ、自分たちの正しいと思ったことを貫くことが大切なのかもしれない、と教えてもらっているような気もしたり。
 
…と、前置きが長くなりましたが。以前からやりたかった夢の1つとして、1年間にリリースされた音源から数枚をご紹介する、というものがありました。1年を振り返ろうと思った時、欠かせないのは、今年のシーンを直接動かした音源の存在。ここからはLIVEやフェスを動かし、ひいてはCDショップで出会った人の人生をも動かしてしまう沢山の音源から、個人的に猛プッシュしたい、変化・躍進を感じせる3枚をピックアップしてお届けしたいと思います。年の瀬の締めくくりに、素敵な出会いを提供できれば幸せです。
 
*便宜上数字を打ってはいますが、順位とは関係ありません。何が良い、悪い、で測れるものでは無いという判断からです。
 
 
1.LAMP IN TERREN「fantasia」


 
 
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全国対バンツアーを終えたばかりの彼らが、上半期にリリースした3枚目のアルバム。前作の「LIFE PROBE」が作詞を担っている松本の内面を楽曲へと落とし込み、彼の見ている景色を共有するような印象だったのに比べ、今作は自分の世界から一歩を踏み出し、こちら側をしっかり見据えた上で“届ける”ことを念頭においた言葉が活き活きとした感情と共に綴られているといった印象を受ける。先日のツアーで彼は「やっと胸を張って僕は僕だと言える」と口にしていたが、今の彼らに起きた変化を言葉にするとき、前作から今作にかけての開化を無視することは出来ないだろう。歩んできた足跡が形になったような一枚だ。
 
 

 
 
 
 
2.TOTALFAT「FAT」


 
 
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もともとLIVEの場で本領を発揮していたバンドが、その高くて純粋な熱量を音源に落とし込むことにも成功した1枚。特に変化を感じさせられたのは、終盤に収録されているJoseがメインボーカルを務める「Eyes」。自分の声で歌を歌い、想いを伝えることに対してより一層自覚的になった彼が、弾き語りのような赤裸々さで胸中を曝け出した、叫びのような一曲に心を掴まれる。もちろんお祭り番長として、LIVEで大盛り上がりすること間違いなしのパーティーチューンも健在。笑って泣いて、最後には熱くなれる。TOTALFATだからこそ作れた名盤。
 
 

 
 
 
 
3.CHAI「PINK」


 
 
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ニュー・エキサイト・オンナバンドを標榜する彼女たちの、言わずと知れた話題作。今年のシーンを形作る1枚としての印象を既に持っている人も多いであろう作品だが、今作の、ひいてはCHAIの凄みは聞いているうちに自分の悩みが氷解していくような、戦わずして勝ちをもぎとってしまえる愛嬌だと思う。一聴するだけで肩の力が抜けてしまうような楽曲群は、堅くるしい空気が蔓延した現代社会で窮屈そうに呼吸を繰り返す心を解きほぐし、より楽しい方へと駆け出すためのガソリンを注入してくれることだろう。ふふっ、と柔らかな笑顔をみせる彼女たちの次の一手が楽しみになる作品。
 
 

 
 
 
あなたにとっての今年を表す3枚とは全然違うのだろうな、と思いながら選ばせて頂いたのですが、如何でしたか?実際にピックアップしてみると、こっちも、いや、あっち、いやでも…!と中々決められずに非常に苦労しました。ここでご紹介した作品以外も、当たり前ながら良い音楽は溢れています。来年も、あなたにとって素敵な出会いに溢れた1年になりますように。出来るのであれば、その出会いのお手伝いをさせて頂ければ非常に嬉しいです。
 
それではみなさん、良いお年を。また来年お会いしましょう!
 
 
 
 
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来月から家族になる妹たち。戌年なので、縁起も良さそう。

 
 
 
 
 


 
watanabe渡辺真綾●1998年10月13日生まれ。名古屋在住の大学1年生。年間のLIVE総数が100本近くなるほどのミュージックフリーク。戌年の2018年は新たに2匹の犬を加えて、4匹+2人で賑やかに暮らしていく予定です。今年と変わらずに東名阪のいずれかのライブハウスに出没しまくる1年にするつもりにしておりますので、お見かけした際はどうぞよしなに。オススメの海岸情報は引き続き募集中です!