■『Black Box』伊藤詩織著 文藝春秋
![img_b5bf354ec631986dfedb8f8e456a696a121129](http://www.yumeco-records.com/wp-content/uploads/2017/11/img_b5bf354ec631986dfedb8f8e456a696a121129.jpg)
この事件は本当に卑劣で許せない。他人事に思えなくて、
詩織さんの会見を見て、その勇気に涙がでた。
これだけ注目を浴びたら事件の真相は明らかになって、
顔を出し、名前を明かした覚悟が報われる気がしていた。
けれど、9月に検察審査会は「不起訴相当」とした。
きっと色々な力が働いているのだなと推測はできる。
ネットニュースだけで好奇心を満たすのではなく、
彼女の「真実」の声を聴いてみたくてこの本のページを開いた。
夢中になって読んだ。ノンフィクションとしてすばらしい。
『伊藤詩織』という一人の女性が、とても幸せな家庭で育ち、
ジャーナリストになりたい! という夢を持って、留学する。
恋をしたり、バイトをしてなんとか生活や学費を稼ぐ毎日が書かれている。
事件のこととは、まったく関係のないようなことだが
彼女の逞しさ、行動力を随所に感じるエピソードが描かれている。
留学先のホストマザーの言葉が心に残る。
「銃で脅されても車に乗っちゃダメ。そこで撃たれても逃げて。
車に乗ったら最後。誰もあなたを探すことができないの。だから、そこに血を残しなさい。
そうしたら、手がかりが残るから」
海外でもサバイバルな状況を生きてきた、幼いころも痴漢にあって苦しんだりしていた場面もあり、
普通の女性より、より用心深く生きてきたのではないかと思う。
ある日突然、事件は起きてしまう。
親しくて、尊敬している仕事の先輩と恵比寿で食事。
そんなことは、東京で働いている女性だったら日常でよくあるケースであろう。
その日の夜の出来事の詳細は、この本に書かれていることを読んで欲しい。
「パンツをお土産に頂戴」と言って隠したり、
「今までは出来る女みたいだったのに、今は困った子どもみたいで可愛いね」
とか反吐がでるセリフも忠実に書かれていて、
思い出して書いたであろう悔しさに、激しい怒りを感じた。
最初は、誰にも話せず怯えたという。
妊娠している可能性もあって、月日が過ぎていくのが怖かった。
けれど、彼女は気丈なふりをして事件の相手のジャーナリストにメールを交換し続ける。
警察だけに頼らず、自分で事実を立証していく姿がとても勇ましい。
あとがきから引用したい。
『レイプは魂の殺人である。それでも、魂は少しずつ癒され、
生き続けていれば、少しずつ自分を取り戻すことができる。
人にはその力があり、それぞれに方法があるのだ。
私の場合その方法は真実を追求し、伝えることであった。』
彼女は血を流しながら、この本を書いた。そして、まだ血は流れ続けている。
勇気を持って、「伝える」行為を貫いた彼女の覚悟を読んで欲しい。
私は、何ができるのだろうと、読後ずっと考えている。
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名物の玉ねぎを植える前に、畑はレタスや白菜を植えます!
今まさに、白菜が巻いていく最中。
こんな場面東京では見れないから、成長を観察しています。
![uemura](http://www.yumeco-records.com/wp-content/uploads/2017/04/uemura-1024x1024.jpg)