今回は様々な現場でご活躍されてるドラマーのマシータさんをゲストに迎え、ドラムレッスンをお見せします!
 
元々、思い出深い面白い出会いをしてから(詳しくはこちらのエナブログ記事ご参照ください)実は最近ドラムを教えてもらう生徒としてもお世話になっています。
 
ただ、私はシンガーソングライターなので、“歌うこと”“曲を作ること”に活かせるように「ドラムの技術的な部分と、音楽へのイマジネーションの部分の両方」を意識した上で、マシータ先生に色々と伝授していただいています。
 
そしてなんと、今回様々な現場で使用されているマシータさんご自身のドラムを持ってきて下さいました! 『ポピュラー音楽の礎』になっているようなドラムを今回叩かせてもらいながら(贅沢!)いつものレッスン風景、今回は動画や写真たっぷりでお届けしたいと思います。
 
音が変わる瞬間、構築されていく様子、心が動いた言葉…どうぞお楽しみ下さい♪
 
 
(撮影=田口沙織 編集=上野三樹)
 
 
1エナ連載8月
 
 
 
 
 
2エナ連載8月【マシータさんプロフィール】
 
1972年生まれ、山口県出身。15歳でドラムを始める。
 
2004年、DefStar RECORDSより、BEAT CRUSADERSでメジャーデビュー。全国ツアーや各地のフェスに出演。2010年に同バンドが解散後、現在はセッションドラマーとして活動中。
 
そして2018年、松千の花田千草(Vo.)と東京60WATTSの杉浦琢雄(pf.)と、長年の夢であった “永く愛される歌と音楽” を作り鳴らすために『God bless you』を結成し、活動を開始した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
『まずはどういう風に叩けるようになりたいか具体的なイメージ像を持つのが大事だよ』
 
マシータさんから一番最初にいただいたアドバイスです。
 
私がレッスンを希望した動機は

・単純に色んなリズムを学び身に付けたい
・演奏メンバーに伝える時もっとうまく伝えられるようになりたい
・より楽曲のイメージを具体的に形にしたい、共有したいetc…

マシータさんにそう話すと、先程のアドバイスをくれて、その後に「1つエナが好きそうな動画があるよ」と見せてくれた映像があります。
 
それはThe Carpentersのカレン・カーペンターが楽しそうにカラフルなドラムを叩く動画でした。

“レギュラー・グリップ”というドラムのトラディショナルなスティックの持ち方で、次々と素晴らしいパフォーマンスをしていく彼女を見た途端に「マシータさん、私こうなりたい!」と興奮し、すぐイメージ像が決まり、様々な基礎+レギュラー・グリップも取得できるようレッスンが始まりました。

 
 
3エナ連載8月
 
 
4エナ連載8月
 
 
5エナ連載8月
 
 
 
 

1.一打一打から始まる音。


 
上野:このレギュラー・グリップが出来るようになったら、どういう感じに応用が出来るんですか?
 
マシータ:より細かいニュアンスが出来るようになりますね。特にアメリカのルーツ的音楽にもあたるジャズとか…。現在のポップス界隈ではあまり見かけないかもですが、僕も今レギュラー・グリップで演奏することが多いんです。今回取得しようとしてるのは、エナがThe Carpentersのカレン・カーペンターに憧れてるので、この叩き方で色々なパフォーマンスに繋げられたらと。
 
エナ:はい! 先生お願いします!!
 
マシータ:それじゃあ復習がてら打ってみようか。
 
 
6エナ連載8月
 
 
7エナ連載8月
 
 
毎回レッスン始めは、一打一打、懇々と打ちながら、スティックの持ち方、姿勢、叩いた時の音まで含め、おさらいや修正をしていきます。
 
変な癖が育たないように身体に覚えさせていく大切な作業。
 
マシータさんが指導してくれる内容を一つ一つ意識していくと、どんどん音も打ち方も変化していきます。
 
 
8エナ連載8月
 
 
9エナ連載8月
 
 
そして初めてマシータさんのドラムを叩くこと、とても緊張しました(笑)。
でも音が良くて叩くと感触も反応もなんだか違ってずっと叩いていたかった…
 
私の自信なさげな打ち始めから、出来た時のBefore→after動画をどうぞ。
音や打ち方、少し変わってるの分かりますか?
 
 

 
 
毎回、こうして丁寧に戻してもらってからどんどんレッスンは展開していきます。
 
あとは、欠かせない座り方などの姿勢も確認。
 
ドラムを叩くときの姿勢の指導で、面白いくらい音が変わったマシータさんのアドバイスがあります。
 
 
マシータ:ドラムを演奏するのには、一番重要じゃないかってくらい重心の取り方が大切で。その重心は、【1】椅子に座って体幹・体軸の接地点となるお尻の部分、【2】右足裏、そして【3】左足裏、基本的にこの3点で取ります。
 
あと、これは以前自分が意識してやってたことだけど、体幹(上半身の腹から胸あたり)と構えた両腕のスペースの中で、気の玉を作るイメージを持って、演奏中にその玉を壊さないように、守りながら、そういう感覚を持って演奏してみて。
 
そして、もう1つ、丹田に関しては、丹田から肢体をつうじてスティックやペダルに力が伝わり、太鼓を鳴らすイメージを持つ。
 
ーーこの2つのアドバイスで音の深さやリズム感もすんなり変化したのでびっくりしました。さらに歌う時にも応用できる気がして、日々意識して行きたいなと思ったことでした。
 
 
 

2.グルーヴが生まれれば聴いてる方も楽しい。


 
こうして基礎とイメージ、一つ一つ確認しながら、次はリズムの中でのレギュラー・グリップの扱い方含めて、バスドラム、タム、ハイハット…色々な音を組み合わせ、基本のエイトビートの演奏へ。
 
毎回マシータさんのお手本を見てから実践して行きます。
 
レギュラー・グリップでスネアドラムの基本の打ち方をリズムに組み込む場合、ハイハットを打つための右手で持つスティックと交差するため、左腕の動きがコンパクトになっていきますが、やはり基本の打ち方・動きをそのままコンパクトにしていくという実例です。
 
 

 
 
まずはバスドラムを踏んで4つ打ち
→ハイハット8分のリズムで刻み
→4拍目でスネアを入れたりタムを入れ、リズムを展開させていく。
 
 
10エナ連載8月
 
 
マシータ:バスドラム踏む時は、骨盤立てたら(胸を張れば)割とアタックが出来て、寝かせると柔らかい音に近づくよ。重心を意識しながら、歩いてるようなイメージで叩けたらいいかな。
 
 
11エナ連載8月
 
 
マシータ:ハイハットやライドシンバルは手首や、ゆくゆくは指を使っても叩けるよう、親指を上向きにして叩くのをオススメするよ。
 
 
12エナ連載8月
 
 
エナ:なんか私の叩くタムの音が弱々しい…
 
 
マシータ:タムは元々跳ねづらいから音を引き出す感じかつ、結構強めにヒットしていいよ。跳ねさせて音を引き出すイメージ。僕はバスケのドリブルみたいな感覚で捉えてて、スティックをボールみたいに弾ませるイメージを意識してるかな。あとは腕で鳴らすこと、そして次の音に繋がっていくイメージも大事。
 
エナ:(タムをひたすら叩いて)わぁいい感じになってきた!
 
マシータ:あとは熱いものに触れた時、アチッ! てなるでしょ(素早く手を離す動きをする)? あの返す感じもドリブルさせるのと近い感じになるね。ドラムは「叩こう!」とすれば「叩いた!」雰囲気の音になるし、引き出そうと思って動きも交えて叩けば音がオープンに広がっていく。イメージと動きによってどんどん音が変わるからね。
 
 
13エナ連載8月
 
 
それでは、それぞれに合わせたアプローチを教わった後の私の叩き姿をどうぞ!
 
 

 
 
マシータ:いいね、曲っぽくなってきてる! こういう時は聴いてる方も楽しいよ。
 
エナ:嬉しいし私も楽しいです!
 
マシータ:更にここから音のイメージを具体的に持てるといいね。例えばこの4つ打ちは、“森の中で立派に根をはる大木のような、暖かくどっしりしたイメージ”とか、“無機質な機械的な音”を出したい、とか。楽曲に合わせイメージを深めて捉えて叩けるようになると、更に世界が広がるし楽曲制作にも役立つからね。
 
エナ:わぁ。とても大切なことを聞けた気がします。今まで全体的な雰囲気ばかり意識していましたが、これからはドラムの音1つ1つにイメージ膨らませて行きたいです。
 

3.今挑戦していること


 
まだまだ出来ないことばかりだけれど、毎回必ず何かが出来るようになって、ワクワクしながら色んなことを学んでます。
 
1つ私が叩けるようになりたいリズムがあって、それがドラムロール。
 
いわゆる結果発表の時とかにもよく聞く“ザァーーーッ ドシャン!”の、あの音。
ここからまた一打一打、片手それぞれ、そして両手と挑戦していきます。
 
 
14エナ連載8月
 
 
15エナ連載8月
 
 
16エナ連載8月
 
 
17エナ連載8月
 
 
これが毎回出来たり出来なかったり、なかなか難しくて良くこんな顔に(笑)。
 
「ロール(プレス・ロール/マルチプル・バウンス・ロール)は、さっきまで練習してた基本の一打一打とは全然違うアプローチだからね、やってたこととかなり変わるし難しいよね。押さえつけながら細かく弾ませて、それを左右交互に素早く、を繰り返さないとなんだよね」
 
と、マシータさんに励まされながら日々奮闘中です。
 
こちらのレッスンの状況もほんの少しだけ動画でお届けします!
絶対次こそはもっと出来るように(涙)。
 
 

 
 

4.ヒト対ヒトだからこそ。


 
エナ:今までロールのレッスン受けた時、こんなにうまく出来なかったから、少しずつでも出来てきて嬉しいです!
 
マシータ:やっぱりさ、やりたいことって継続すれば出来るようになるんだよ〜。
 
エナ:そうかぁ。でも本当マシータさんの伝え方がうまいからだと思います。それに毎回ポイント抑えて褒めておだてていただき(笑)必ず何か出来るようにしてもらって、いい気分で帰らせてくれるのでやる気出ます。
 
(撮影してくれてたカメラマン田口沙織ちゃんも思わず)
 
田口:マシータさん、イメージの投げ方がうまいですよね。撮影しながら聞くたびに思ってました。だから受け取る側もキャッチしやすいんだろうなぁと。
 
マシータ:…そうですか?(照)
 
エナ:本当にそうです!!
 
マシータ:嬉しいなぁ。でも1つ言えるのは、人間てすごいもので、ちゃんとイメージを持つと、そこに寄っていくんです。リズムについてもそうだけど、例えば“こういう音を出したい”って誰かが言って、そこに目がける道筋を僕が作るんだけど、まず要望を言ったその人が明確なイメージを持ってると、そこの音に近づいていくっていうか。。極端な話だけど、人間同士だからそれが出来るのかなって。
 
一同:あぁー!
 
マシータ:発信者側と感覚を共有して、僕はそれを受け止めた上でレシーバーとして「僕はこうだよ」と投げ返す。そうすると、相手がその僕のレスポンスを受け取って『これってこうですよね』って更にイメージがハッキリしていくし、より近づいていく。逆に言うと、発信者側がイメージ空っぽだったら、受け取る側も何も感じれなくて、なかなか形にはなりずづらい気がするし、ライブで例えるなら、お客さんが“なんか響かない”ってなったりすることがあるのはそれが理由になっている時もあると思う。もちろん感性や感度の違い、好みも含め色んなパターンがあるから一概には言えないんだけど。
 
エナ:確かに…! マシータさんレッスンは技術面だけじゃなくて、感覚的なことまで学ばせてもらえてほんと楽しい。有難いです。
 
マシータ:そういえば、さっき姿勢の話でも出た、“気の玉を守るイメージ”伝えた時も、エナがそれを受け取ってイメージした瞬間にガラッと音が変わったもんね。
 
エナ:あれはビックリしました。
 
マシータ:僕もビックリしたよ。ドラムに向かう構えや姿勢もどっしりして一気によくなったし。1つのイメージがあって、それをポンっと投げると、エナはそれを受け取ってばーっと広げてくれるから面白いよ。きっと感受性みたいなものも似てるんだろうな。レシーバーの機種も近いっていうか(笑)。
 
エナ:わー! そんな風に言っていただいて光栄です(涙)。
 
マシータ:出会いも出会いだったしね(笑)。
 
エナ:いやぁ本当に…(笑)。あの時からこんな素敵な未来に繋がってたなんて…マシータさん、いつもありがとうございます。次回のレッスンも楽しみです!!
 
 
18エナ連載8月
 
 
19エナ連載8月
 
 
 
 
 

マシータさんへ感謝の言葉


マシータさんのレッスンは毎回必ず1つも2つも技術的に出来るようにしてくれるのはもちろんですが、それ以上にたくさんの発見に繋がるレッスン内容で、いつも帰り道、ワクワクして帰るんです。


「今日教わったこと今度はあの場面に使ってみよう、あの曲はもう一度イメージ膨らませて見直そう」と頭の中が騒がしくなって楽しい(笑)。思考の風通しをも良くしてくれることにも感謝でいっぱいです。


きっとそんな豊かな時間になるのは、マシータさんの繊細な人間性もあること、そして本当にドラムを、音楽を愛してることがひしひし伝わってきます。


一打一打、とても大切に、丁寧に教えてくれる際に、その一打をどう打つか、どう打ちたいかまで深く意識を持っていく大切さ、そしてその積み重ねた先には面白いくらい変化があること、その継続は裏切らないこと、を身をもって知ってる方だからこその内容なのかな、と思います。


おかげで曲制作する上でも、歌う上でも意識が変わり、色々な視点で一曲一曲に触れられいて、より音楽が好きになりました。


まだまだ私の目標、カレン・カーペンターなんて果てしなく遠くてため息出てばかりですが、絶対いつかマシータ先生にステージでセッションしていただけるくらいになりたいし、少しでも近づけるように頑張ります!!


マシータさんのバンド『God bless you』もとってもステキなので皆様ぜひ聴いてみてくださいませ♪

 
 
 
 


 
 
 
ena_yumeco_0_photoエナ●歌手 / 作詞作曲家。3月16日生まれ。北海道中標津町出身。心のまま音楽をつくる為に服飾関係の仕事を辞め、2013年5月から歌手として始動。自身の心に耳を傾け紡いだ等身大の歌は素直で温かく、雪解け水や澄み渡った大空のような自然のままを感じさせる。Liveでは毎回、様々なミュージシャンをサポートに迎え、繊細に感情を詰め込んだ詞曲でカラフルに音世界(ストーリー)を描いていく。自身のライブの他、学祭、フェス等に出演中。
HP: http://ena-official.com